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2009年12月29日

単行本「映画館(ミニシアター)のつくり方」発売中!

 2004年〜2008年まで「映画芸術」に連載された「映画館通信」をもとに構成された単行本「映画館(ミニシアター)のつくり方」(AC Books刊)が発売になりました。全国各地でミニシアターの運営に携わる方々の熱い思いが詰まった一冊です。将来、映画館経営にチャレンジしてみたいと考えている方はもちろん、現在の映画状況を知るうえでも貴重な内容になっていますので、ぜひご高覧いただければ幸いです。

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〈本文執筆者〉
北海道;大黒座 三上雅弘(支配人)
愛知;名古屋シネマテーク 仁藤由美(スタッフ)
愛知;シネマスコーレ 木全純治(支配人)
新潟;新潟・市民映画館 シネ・ウインド 久志田 渉(ボランティア・スタッフ)
京都;京都みなみ会館 石田泰也(館長・映写主任)/岡田史朗(RCS)
大分;シネマ5 田井 肇(代表)
愛媛;シネマルナティック 橋本達也(支配人)
岡山;シネマ・クレール 浜田高夫(支配人)
大阪;シネ・ヌーヴォ 江利川憲(株式会社ヌーヴォ代表取締役)
北海道;シネマ・トーラス 堀岡 勇(支配人)
石川;シネモンド 土肥悦子(代表)
群馬;シネマテークたかさき 志尾睦子(支配人)
大阪;第七藝術劇場 松村 厚(支配人)
秋田;シアタープレイタウン 元木 崇(支配人)
沖縄;桜坂劇場 真喜屋 力(支配人)
広島;シネマ尾道 代表・河本清順

〈序文・コラム執筆者〉
奥田瑛二(俳優・映画監督・映画館主)
志摩敏樹(志摩フィルム代表・映画館主)
若木康輔(ライター)
阿部 剛(台町と映画を愉しむ会)
七里 圭(映画監督)

〈まえがき〉
 本書「映画館(ミニシアター)のつくり方」は、映画館を作りたいと考える人たちへの指南書の体裁を取っている。だが、映画館を作るということは、映画そのものを作るのと同様か、それ以上に難しい側面をはらんでいるかもしれない。特にミニシアターという言葉が新鮮味を失ってしまった今、映画館(ミニシアター)を作り維持していくことは決して容易ではないだろう。
 ミニシアターは1980年代のいわゆる「ミニシアター・ブーム」を機に世間一般に広く浸透した。ミニシアターの革新性は、東宝・東映・松竹などのメジャー配給チェーンに属さない形で、独自のプログラム編成を行った点にある。1981年にシネマスクエアとうきゅう(新宿)、1982年にユーロスペース(渋谷)などが開館し、その草分け的存在となった。こうした流れに追随する形で全国に同様の映画館が誕生、同時にインディペンデントの配給会社が勃興する。映画業界に新たな流通網が生まれ、ヨーロッパや第三世界を中心に、日本でも世界中の映画が観られる環境が整った。
 しかし、1993年にさらなる「流通革命」が起きる。シネマ・コンプレックス、いわゆるシネコンの登場である。その年、ワーナー・マイカル海老名が開業して以降、シネコンが日本全国各地に続々と作られていく。1993年には1734まで落ち込んでいた全国のスクリーン数は2008年には3359スクリーンに達し、うち2659スクリーンをシネコンが占めるまでになった。コロシアム形式の座席に巨大なスクリーン、最新型の音響設備など、上映環境が充実したシネコンの登場は、観客にとって好ましい変化に見える。だが、映画の流通面に限定すれば、多くの問題をはらんでいるのもまた事実である。
 当初、シネコンは外資系が中心であり、国内メジャー各社が独占的な力を持つ映画の配給網に変化をもたらすきっかけになりうると見られていた。しかし、2003年には東宝がヴァージンシネマズを買収、2004年にはユナイテッド・シネマの全株式を住友商事と角川書店(現・角川グループホールディングス)、角川映画が取得するなど、従来の構造をより強固にする結果を招いた。つまりシネコンの増加は、多様な映画との出会いの場を広げたのではなく、ある種の映画が流通する経路を太くしたにすぎないのである。近年のこうした変化のなかで、ミニシアターの存在意義は益々大きくなっていると言えるだろう。
 その一方で、以前ならミニシアターで全国展開されていた作品がシネコンに流れる状況も目立ってきた。いわゆる「単館拡大公開」と呼ばれる公開形態がそうだ。これには近年、洋画の買付価格が高騰したことが大きく影響しているが、映画の公開本数が激増するなかで宣伝費が膨張し、配給会社としては公開劇場を増やさざるをえない事情もある。結果、地方のミニシアターはヒット作をシネコンに奪われ、経営的には窮地に追い詰められている。
 そこで本書の登場である。この本には文字通り、映画館の作り方に関する文章も収録されている。だが、中心を成しているのは、2004年〜2008年の間に「映画芸術」誌に連載された「映画館通信」の原稿を加筆編集したものであり、これらは主に映画館を作った後の事柄について書かれている。にもかかわらず、なぜタイトルを「つくり方」にしたのかといえば、映画館を建てることよりもむしろ、その後いかにして独自のカラーを作り上げていくのかに、映画館作りの本質があると考えたからである。連載原稿のうち掲載を地方の映画館(ミニシアター)に絞り込んだのも、こうした考えによるところが大きい。人口が少なく、公開本数も限定される地方でこそ、様々な試行錯誤が行われているからだ。
 映画館を作るまでには至らなくとも、本書に散りばめられた数多くの苦言、箴言、名言を糧に、新たな映画状況を切り拓いていこうとする読者が現れんことを願ってやまない。

映画芸術編集部(文責・平澤竹識)

購入ページ
http://www.ac-books.com/book/minitheater.html

タグ:映画館
posted by 映芸編集部 at 12:54 | レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする