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2011年02月14日

短期連載「大阪CO2に見るインディペンデント映画のいま」第1回 
新生CO2の描く近未来ネットワーク図

 CO2第7回上映展が2月21日から27日までの日程で開催される。
 2005年に大阪市が提唱した映像文化振興事業としてスタートし、新人映画作家の育成と映画制作をサポートしてきたCO2(シネアスト・オーガニゼーション・大阪エキシビション)。今回より制作体制が変わり、新たにコミュニティシネマ大阪に事務局を置き、大阪アジアン映画祭と連携を取るという形で始動している。新生CO2はどんな展開を見せるのか? 新たに生み出された作品はどんな可能性を秘めているのか? 本連載で3回に渡って探っていく。
 第1回目はCO2事務局長の富岡邦彦氏と上映展ディレクターの板倉善之氏、CO2事務局の福嶋美穂氏に話を伺った。
(取材・構成・写真:デューイ松田)

現実は簡単には変わらない。しかし映画もそれでいいのか?
富岡邦彦(CO2事務局長)インタビュー


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――CO2第1回目と2回目で事務局長を務めた富岡さんが今回復帰されたわけですが、どんな経緯があったんでしょうか。

 今まで進行を担当していた会社が6月に降りて、7月に僕が担当することが決まったんですよ。2回分のノウハウがあったんで何とか対応できた状態で、本当にきつかったです。

――実際復帰されていかがでしたか。

 インターンスタッフの数が減っているのを痛感しましたね。1・2回目は制作の半分が大阪だったんですけど、前回は1組以外東京や北海道での撮影だったということで、今回は大阪市の意向もあり、できるだけ大阪での制作を推奨しました。その代わり、事務局としては制作のバックアップ体制を整えないといけないんですが、急だったこともあって整備するには至らなかったんですよ。周りにスタッフのいる監督はまだしも、東京から来た監督はスタッフを見つけるのに苦労しました。横浜聡子監督の『ジャーマン+雨』(06)では、インターンスタッフが育って、次の年は下に新しいスタッフをつけて、という形になりつつあったんですが、スタッフのネットワークの場としての機能が失われているのを痛感しました。今後はそこを補強したいですね。

――CO2の取り組みは、企画を選考して映画制作をサポートするという、全国的にも珍しいものですが、どういう体制になるとよりうまく機能するとお考えですか。

 今回は事務局の立ち上がりが遅かったこともあって、大体12月から撮影に入る組が多かったんですけど、CO2の進行として理想的なのは、事務局を早く立ち上げることですね。5・6月には企画の募集をかけ、7月には5人の助成監督を決定する。それなら監督たちも大阪市の助成金以外に他から予算をひっぱることも出来たわけです。
 あと、スタッフルームの確保もしていきたいですね。ロケハンや準備、宿泊に使える場所。大阪市には提案してきたんですが、例えば市の宿舎などを開放してもらうとか。それをCO2とは別の予算でやってもらえたら、CO2の監督だけでなく海外の監督が大阪で撮るという時も、そこに宿泊してロケハンができる。大阪市からは予算や宿舎がないんです、といった答えでしたが、インターンのネットワークで個人的に使ってない部屋や家屋の情報を得て借りるというやり方もあるでしょう。これは大阪で映画を作りやすくするためにも重要。他の都市でもそういうネットワークができればやり易くなるよね。将来的には、事務局が大阪の映画づくりの拠点としての役割を果たすようにしていきたいと思います。

――CO2の役割についてはどのようにお考えですか。

 CO2は終着点ではないんです。作るところまではバックアップしますから、そこから先は公開に向けて自分たちがどう進めるか。そのためには僕が持っているネットワークも、とことん利用してほしい。そういった芽が7年前に出始めたところでした。CO2の監督で自分で配給、宣伝までやったのは今回の上映展のディレクターでもある『にくめ、ハレルヤ!』(06)の板倉善之と『モスリン橋の、袂に潜む』(06)の羽野暢くんくらいじゃないかな。『ジャーマン+雨』の横浜聡子監督のようにリトルモアの孫(家邦)さんが気に入って買ってくれたという実例はまれで、そうそうあることじゃない。自分たちで動くべきだと監督たちには散々言ってきたけど、動かないと次がないという意識にはなかなか至らないですね。
 今一番面白いやり方をしているのは、『サウダーヂ』の空族・富田克也くんたち。彼らは自分たちで上映していくスタンスを取っているし、『SR サイタマノラッパー』シリーズ(08・10)の入江悠くんもそう。プチョン国際ファンタスティック映画祭のNAFの企画マーケットもあるし、釜山国際映画祭で小谷忠典くんがドキュメンタリー映画の支援プロジェクトの助成を受けたりというように、考えて動いている人はたくさんいます。海外の映画祭へ、という流れを作るためには早めに英語字幕をつけることも大事です。CO2では最初全作品に英語字幕をつけようとしてたんですが、予算的に難しいってことになって、グランプリの大阪市長賞の作品につけることになりました。

――今回の選考委員はどうやって選ばれたんでしょうか。

 前回までは企画の選考委員と最後に賞を決める選考委員が分かれていたんですが、今回から元に戻って同じ選考委員で進めることに。監督の助成をする事業なので、助成してどれだけ伸びたかを見るということで、本来のCO2の趣旨に則った形に戻りました。
 選考委員の基準は、商業、インディペンデントに関わらず映画をたくさん観ている方ですね。現役映画監督の大森一樹さんと黒沢清さん。映画制作に携わる監督とは別のスタンスの目線が欲しいということで、若手のプロデューサーである小泉朋さん、配給・宣伝を手がける吉川正文さん、ドイツの「Nippon Connection」のプログラマーであるアレックス・ツァールテンさんといった顔ぶれになりました。

――CO2に送られて来た企画をご覧になって、最近の作品をどのようにみられますか。

 コミュニケーションがとれないといった題材が多いですね。あと、明確なラストがないもの。何も変化しないままラストを迎えるとか。現実はそうそう変わるものではないですが、だからといって、映画もそれでいいのかって思います。トラウマ系の作品ならなおさら外に向けての着地点が欲しいです。今回の助成監督たちには、企画を脚本にする段階で何度もやり取りをして、完成度を上げるために葛藤してもらいました。映画制作が自己表現だけに留まらないためにも、観客を意識した作品づくりを目指して“企画→制作→上映展”の過程で、CO2をステップアップの場として利用して欲しいですね。

富岡邦彦プロフィール
プロデューサー。黒沢清監督作品の脚本などを経て、関西から出発した山下敦弘監督の『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』等、長編劇映画のプロデュースをはじめ、松江哲明監督の短編ドキュメンタリーもプロデュース。大阪アジアン映画祭など映画祭のプログラマーも多数担当。香港、 韓国、中国、ドイツなど海外の映画祭や若手映画監督とも親交が多数有り。最新プロデュース作品は万田邦敏監督の『面影』(大阪ヨーロッパ映画祭で上映)。上映室 PLANET+1の代表。関西を中心に活躍する、若手映画監督の育成などにも努めている。シネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)事務局長。



国境・予算・制作体制。型にはまった映画づくりの必要なんてない
板倉善之(第7回CO2上映展ディレクター)インタビュー


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――今回新体制に移行したわけですが、上映展ディレクターとしての抱負はありますか。

 今回のキャッチコピーは「映画を見せるための出発」という上映展の趣旨を打ち出しています。ここで終わりじゃなくて、ここからそれぞれが作品を見せて行ってくださいという思いを込めてCO2に関わっています。
 元々そういう方針もあったんでしょうが、第2回の助成監督だった僕も含めて、そんな動きができていないのが現状。僕の例で言うと『にくめ、ハレルヤ!』の公開まで4年かかっていますので、そういった体験も踏まえて、みんなの意識の向上を目指したいと思っています。

――板倉さんの場合は、なぜ上映まで4年かかったんでしょうか。元々興行に関しての意識はどのようなものでしたか。

 作品ができるまでは興行に関しての意識はなくて、上映会などは行っていても、単体での劇場公開に向けての活動はしてなかったんです。富岡さんがいろいろ言ってくれてたんですが。甘えてたんですね。周りが動いてくれるだろうとか、映画祭に出すことで終わってましたね。興行にかかるお金を集めるのに時間がかかりましたし。
 監督って60万もらったら全部制作につぎ込んでしまいがちなんですが、そのうち10万だけでも宣伝に回すといった、商業映画ではおそらくやっているような計算をしながら作ることも可能でしょう。そういう冷静さがあれば、僕のように空白期間ができることもないと思います。

――今回はその体験を踏まえての運営をされてるんでしょうか。

 実際のところは、事務局が各組の制作費を管理しているわけではないんですけど、上映展の打ち出し方としてはその方向で動いています。実際2名の監督は最初から公開を前提にしていて、それを見込んだキャスティングもしています。

――板倉さんがはがゆく思われているのはどういったところですか。

 インディペンデント映画では、自分たちなりのやり方で作れるにも関わらず、どこか商業映画の作り方を踏襲しがちなのも気になるし、役職だってその映画独自の役職があってもいいはずです。
 制作段階で興行を視野に入れるにしても、商業映画のように「この原作で、このキャストで」というように必ずしも足し算で決めていく必要もないはず。今回上映される柴田剛さんの『ギ・あいうえおス』(11)では、制作進行や録音がキャストに入っていたり、見たこともない役職があったりします。
 あと例えば、松江哲明さんの『ライブテープ』(09)は何千円という低予算で制作されたと聞きますし、クレジットに“人誘導”なんてあったり。常識とされていることをもっと疑っていいと思います。昔のスタジオで機能していたやり方をさらに資金のないところで当てはめても、苦しいのは当たり前です。低予算ならそれなりの、しかしそうでしか出来ないような作り方もあると思います。撮ろうとするものの内容に即すのは前提だと思うのと、あとCO2では完成させなければならない期日がありはしますが。

――その辺について各監督と話されたことはありますか。

 準備に追われて監督たちとは密に接してないんですけど、プログラムとしては柴田さんの作品はそういったことを考えるきっかけになると思います。CO2後の展開についてはトークセッションの「映画はできた。それからどうする?」が役立つかと。僕がCO2をやったとき、一番聞くべきだった内容ですね(笑)。撮っただけでは何も変わらないんで。

――5人の助成監督の作品の見所を教えてください。

■『適切な距離』大江崇允監督
 前回の『美しい術』(09)を観て、一番演出が確かだと思いました。例えば人が誰かと話するとき、相手によって話し方が変わりますよね。その演じ分けをきっちりしている。そこが物語のテーマとちゃんとリンクしている。助成作品の『適切な距離』は日記を媒介に母親とコミュニケーションを図る息子という企画で、「日記をどう映像にするのだろう?」と個人的にはまだピンときてないところがあります。そこを映画としてどう見せるか。その点が特に楽しみです。

■『大野リバーサイドパーク』尾ア香仁監督
 尾アさんはキャラで押すタイプなのかも。お姉ちゃんにひたすら甘える弟の話だった前作はそれが魅力で、今回の『大野リバーサイドパーク』のキャラの造形も前作に近いのかもしれません。子供を死なせた母親が遺体をバッグに詰めて・・・と言う企画は選考では一番評価が高かったようです。前作では撮影や音響にまだまだ伸びしろがあるように感じたので、助成を受けてどう仕上がったか。プロのスタッフに囲まれた尾アさんが自分のやりたいことをどこまで通せたかも楽しみですね。

■『スクラップ・ファミリー』加治屋彰人監督
 彼は大阪芸大の後輩でもあります。前作『Chain』(08)は撮影、音響などの技術面では一番だったと思う。物語もつかみやすいし、全体的にうまく仕上げている。ただ、キャラクターの造形がどこか紋切り型のように思いました。売春をしたり、殺人を犯す人が登場するんですが、どうも既視感がある。今回の企画は「リアルドールに執着するおじいちゃん」という一風変わったキャラクターが軸の話です。そのキャラクターを通して加治屋くんが発見したものを見せてくれるのを期待してます。

■『聴こえてる、ふりをしただけ』今泉かおり監督
 僕は前作では子供のドロっとした部分を見たんですが、今回スポットを当てているのもそれに近いのかもしれません。「子供ってこういうもんだよね」っていうのと違うものを見せてくれたので、その点はまた楽しみにしています。撮影や音響に関しては尾アさんと同じく伸びしろがまだまだあるように思ったので、今回助成を受けて今泉さんの世界がどう広がったか。よりシャープに今泉さんが見せたいものを提示できたらと期待しています。

■『新世界の夜明け』リム・カーワイ監督
 過去作が一番尖がっていて面白かったです。それが実験映画的な傾向があったんですが、二作目以降は丁寧に物語を見せる方向にシフトしているようで、一体どんな映画になるのかとても興味があります。マレーシア出身で北京や香港、そして今回は大阪と、国境を越えて映画を撮っていて、そういった視点が今回の物語にも盛り込まれているように思いました。準備中、脚本を毎回撮影の前日まで書き直してたり、とても粘り強い姿を度々見ました。その粘りがどう結実してるのかも楽しみです。

――CO2や地方の映画祭の役割についてどうお考えですか。

 そこに映画を見せたい人と見たい人が集まるのなら、“希望”以外の何物でもないです。去年僕が参加したちば映画祭は、30代のサラリーマン数名が集まって自分たちが観たい映画、好きな映画を観せる映画祭で、その方たちが時間と労力とお金をさいて運営していました。映画館がどんどん潰れて、スクリーンで映画を観る人が減っているという現実には悲観もしますが、そういう人たちがいれば観せる場は絶えないと思います。

――仕事という面で考えると東京へ出ようと考える人が多いですよね。

 現状は東京にみんな移住して東京を拠点にして撮るのがベターになっていますが、あくまでベターだと思っています。CO2は「大阪」ということを押してはいますが、僕としてはどこで撮ろうがかまわないと思っています。今回の助成監督のリムさんだって母国マレーシアでは撮ってないけど日本と北京、香港で撮っています。資金面でいえば、例えば北京だとリーシャンタンというインディペンデント映画を支援するファンドがあったり。

――それは日本人が資金をひっぱることも可能なんですか。

 全体の何%が中国語で中国本土で撮影するといった条件はあるようです。CO2はあくまで助成なので他の資金をひっぱってもいいわけです。もし内容が即すなら、例えばCO2で助成を受ける映画を、リーシャンタンの支援も受けて中国で撮影したりとか、動き方によっては様々な展開が考えられます。
 今後、CO2もCO2だけで自閉していたらダメになるのは目に見えています。日本に限らず、他の映画祭などとも連携がとれていければ面白いなと思います。

――CO2の来期の具体的な展開を教えてください。

 ワークショップは去年の9月から関わりましたが、来期は年間通してやりたいですね。CO2の助成作品に参加するのが目的ではなく、スキルを向上させるためのワークショップを常にやっている状態。事務局長の富岡も言ったと思いますが、助成監督が大阪で撮りたいとなった時のためにも、最低限の下地作りとして取り組みたいと思っています。あと自分のためにも(笑)。

板倉善之プロフィール
1981年、大阪生まれ。大阪芸術大学芸術計画学科入学時より、映像インスタレーション作品の制作を開始。『CURTAIN』等の作品をクラブイベント等にて発表。2回生時、映像制作を専門的に学ぶため、同大学映像学科へ転学科。映画制作に強い興味と欲求が芽生え、同大学の卒業制作として16mm長編映画『日の底で』を完成。その後、第2回CO2企画制作部門の助成監督の一人に選ばれ、『にくめ、ハレルヤ!』を完成。また『屋根の上の赤い女』、『青空ポンチ』などの作品に出演者として参加。現在、大学時結成した「思考ノ喇叭社(らっぱしゃ)」を活動母体に映画活動を続ける。


CO2運営の実情、今後の展開について
福嶋美穂(CO2事務局)インタビュー


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――CO2がどういう風に成り立っているか教えてください。

 具体的には、運営資金の9割が文化庁と大阪市の助成でまかなわれていて、後は協賛企業からの協賛金ですね。
 今回第7回目にして協賛企業がほとんどなくなって、大阪芸大さん、パナソニックさんからのカメラの機材提供などで成り立っているのが現状です。あと、お金ではないんですが、毎日放送さん、TV大阪さん、関西の機材レンタル屋さんが協力してくださっています。このまま助成だけに依存していると、助成が打ち切られると同時に終了せざるを得ないのが現状です。

――そうならないための方策はありますか。

 これからの目標は、地元の企業を巻き込んでの関西に特化したプロジェクトとして確立することです。とは言え不況のご時勢なので、協賛企業として入ってくれるところは少ないのが課題ですね。今回も様々な企業を訪問しましたが、営業さん止まりでなかなか上に行かないんです。突破法としてはこまめに行ってプロジェクトへの理解を求めるとか。
 『ソーシャル・ネットワーク』(11)でもありましたが、海外であれば、アイディアを支援する意識が強いですよね。国や市がプロジェクトを助成するのと同じ感覚でバックアップする企業が多いんです。そういった支援をしている会社は社会から注目され、評価を受けます。日本の文化の中でそういった意識を根付かせることは難しいことですが・・・。協賛のメディアに協力していただいて、支援してくれる企業に評価を与えたり、CO2独特の“企画募集をして映画制作、上映を通じて関西の街で人材を育てる”というプロジェクトが、どれだけ他の映画祭と比べて特化していて面白いかPRできたら支援も得やすくなるんじゃないでしょうか。

――協賛企業を募ること以外の方法はありますか。

 CO2自身が収入を得るよう考えるという方法もあると思います。上映展以外の方法としては、ワークショップがありますね。今は気持ちだけで無償でやっていますが・・・。あとはイベントを大阪や東京で開いてイベント費を収入とするとか、課金制で作品のインターネット配信をするという展開も考えられると思います。文化庁や大阪市の助成プロジェクトとしては、どうしても規制があります。利益が出てはダメだし、何か新しいことをするにしても、2年前から企画を出して許可を取っていくことになります。急遽、これがいいんじゃないかって話になっても、小回りがきかないんですよ。

――今後目指す方向としては、助成が一切ない形ですか。

 理想はない形ですね。自立した上で、文化庁と大阪市がこのプロジェクトは大事だということで支援してくれる状況であればありがたいですが、その予算がなくてもやっていける状態を目指すことが大事だと思います。実際のところ、あと何年かは助成がないとやっていけないと思います。CO2というよりは関西の街で映画作家を育てていきたいし、今まで観るだけだった人たちが映画づくりに参加することで映画を観る人が増えていくように。上映展だけでなくワークショップ、講演会などで知識や情報が入ることで、観る人が育っていくと思います。
 去年の日本の劇場の状況を調べると、興行収入は増えているんです。それは一部の映画に観客が集中している状況なんですが、一極集中にならないよう、別の裾野を広げないと。映画の規模は、1億人が観る映画、千人、百人観ればいい映画、とそれぞれあるわけですから、規模に合った多種多様の流れを作りたいですね。映画産業がビジネスになれば。ビジネスモデルになるものが大阪にはないので、新しく作って行くのもいいと思います。

――福嶋さんは今年、東京国際映画祭のTPG(企画の見本市)に参加されたそうですね。

 博報堂DYメディアパートナーズについて企画を提出したんですが、筒井康隆さんの原作で完全にアメリカで制作して、アメリカの興行に乗せる、というものです。
 今までは日本の原作権を海外に売るだけで終わったんですが、プロデューサーとして参加することでプロデューサー費も管理できます。ベースを海外に持っていくと、動くお金の桁が1つ違うんですね。原作とプロデューサーだけが日本人で、アジア圏とヨーロッパ圏で配給権を分けるという流れを目指しています。その間しばらくは、日本にいる映画制作の人たちにはお金が回ってこないんですが、ルートを作ってしまえば、後は作ったものをどこで売るかの話になってきます。海外の人からすればよほど有名な日本人以外は同じなので、中身が面白ければビジネスになるんですね。最終的には、今CO2でメジャーよりも面白いものを作ろうと取り組んでいるような作品をそのルートに持っていけたらと思っています。

福嶋美穂プロフィール
1981年、京都出身。大阪電気通信大学にて大森一樹監督のゼミに入り、04年卒業。関西の映画館シネヌーヴォにて上映を学び、大森一樹監督作品『悲しき天使』をきっかけに製作現場に入る。塩田明彦監督作品『この胸いっぱいの愛を』(05)で制作スタッフとして参加し、同年(株)ツインズジャパンに入社。アシスタント・プロデューサーとしての勤務をへて、関西で映画製作をと大阪に拠点を移す。大阪では劇場「PLANET Sutudyo Plus One」に出入りするようになり、小林聖太郎監督作品『かぞくのひけつ』(06)に制作部として参加。その後、映画・TV・CM、映画祭など映像全般の業務に携わり、現在は、大阪・中崎町に映像製作事務所「BACUfilms」を設立し、製作・プロデュース業を行なう。近年の作品は『ホールイン・ワンダーランド』『堀川中立売』などがある。


CO2上映展 
2月21日〜25日 大阪・九条 シネ・ヌーヴォ
2月26日〜27日 大阪・梅田 HEP HALL


公式サイト http://www.co2ex.org/


<CO2の仕組み>
全国から企画を公募→予選通過監督10名決定→プレゼンテーション→助成監督5名を選抜→→脚本完成→映画制作→上映展開催 という流れで5本の助成映画を制作。助成金は50万円。大阪のロケならばさらに10万円がプラスされる。

<CO2をきっかけに活躍する監督たち>
これまでに作品を完成させた助成監督は30人。その中には、『君と歩こう』『川の底からこんにちは』の石井裕也監督や『ウルトラミラクルラブストーリー』の横浜聡子監督など、その個性的な作品が注目を集める。
石井裕也監督:『ラヴ・ジャパン』で第1回CO2審査員奨励賞を受賞。助成金で制作した『ガール・スパークス』は、第3回シネアスト・オーガニゼーション大阪エキシビション Panasonic技術賞・DoCoMo女優賞受賞。
横浜聡子監督:『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』で第2回CO2オープンコンペ部門最優秀賞受賞。その助成金で制作した『ジャーマン+雨』で第3回CO2シネアスト大阪市長賞を受賞。

posted by 映芸編集部 at 16:31 | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする