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2007年10月18日

『初戀/Hatsu-koi』
今泉浩一(監督)&岩佐浩樹(音楽)インタビュー

世界に目を向ければ、ゲイやレズビアンなどセクシュアルマイノリティーと呼ばれる人達を描いた映画は数多くありますが、日本でそうした作品が作られたり、一般の劇場にかかったりすることは稀です。

10月20日(土)からシネマアートン下北沢で公開される『初戀/Hatsu-koi』は、ゲイの青年が自身を受け入れ、自立していくさまを内側の視点で描いています。監督の今泉浩一さんはこれまでピンク映画の俳優として活動しながら、同性愛をテーマにした自主映画を地道に撮り続けてきました。

今の日本でセクシュアルマイノリティの人たちはどのような立場に置かれているのか。また、彼らを描いた映画を巡る状況とはどのようなものなのか。世界各地のLG(レズビアン・ゲイ)映画祭をまわってきた今泉監督とその映画作りを支える岩佐浩樹さん(音楽)にお話を伺いました。

――今泉さんはずっと俳優として活躍されてきて、何年か前から監督としても活動されていますけれども、きっかけはなんだったんでしょうか。

今泉 90年に佐藤寿保監督のピンク映画でデビューしたんですけど、俳優を目指していたわけではなくて、たまたま監督と知り合って誘われたのが始まりなんです。最初は1本だけと思っていたんですけど、それがなぜか続いちゃったんですね。
で、98年に別の知り合いの監督からゲイのポルノ映画を作るんだけど脚本を書いてみないかと誘われて、書いたことはなかったんですけど、じゃあやってみますということで書いたんです。

――今泉さんなら書けるだろうということで頼まれたわけですね。

今泉 そのへんの意図はよくわかりませんけれど、普通の脚本家とは違うものができるだろうと思われたのかもしれないですね。

――脚本は3本書かれていますけど、実際に書いてみて発見みたいなものはありましたか。

今泉 自分が思っていたものと出来上がったものは、やっぱり良くも悪くも違うということですね。ただそれは自分が俳優業をやっていたときからわかっていたことではあるんで、楽しみでもあるんですけど。
俳優としての仕事は好きだったんですが、ポルノ映画なので年齢を重ねるうちにちょっとずつ減ってきたんですね。でも映画が好きだからどうやったら映画と関わっていけるのかなと考えていたんですけど、大木裕之監督の現場に助監督として付いたりして、裏方の仕事も面白いかも、これもありかなと漠然と考えてはいました。監督になりたいとはあまり考えてなかったですけど、99年に1本目の短編を作ったんです。

――岩佐さんとはそのときから一緒にやられているんですか。

今泉 そうですね。彼とは音楽を作ってくれる人を探していたときに知り合ったんです。

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岩佐浩樹(左)、今泉浩一(右)

――1本目の『憚り天使』はどういうテーマで作ったんでしょうか。

今泉 自分が見たいと思えるようなゲイの映画を作りたいなと思ったんです。ただ、僕は映画監督としての勉強をしてきたわけじゃないので、いきなり長編は無理なので短いものでなにかできないかなと考えていたんです。そのときはカメラもパソコンもなにも持ってなかったんですけど、撮影は手伝ってあげるからやりたいことをやってみなさい、と言ってくれる自主映画の人と知り合うことができて。

――手探りの状態からのスタートだったんですね。

今泉 映画作りに関する知識がなにもなくて、すべて作りながら覚えていきました。

――見たいものがなかったと言われましたけど、当時は具体的にどういうものがなかったんですか。

今泉 単純に自分が共感できたり、面白いと感じられるゲイの映画がなかったということです。あと、人が死なない映画。例えばゲイのポルノ映画ってピンク映画と同じ人たちが作っているから、結局は異性愛者が作っている同性愛風映画なんですよね。当事者から見たらそれは違うんじゃないのって思うところが多々あって。もちろん俳優の仕事としてやるときは、脚本があって監督が演出されるわけですからその意向通りやるんですけど。でもどこかで違和感はありました。

――それで『憚り天使』(99)を撮ったわけですね。

今泉 1本目を作って、青山のスパイラルホールで毎年やっている東京国際レズビアン・ゲイ映画祭で上映してもらえることになったんです。そのときにドイツや韓国の映画のキュレーターと知り合いになって、うちでもやらないかというお話しをいただいたんですけど、その流れでいろいろ拡がっていって。呼ばれたところ全部には行けないですけど、韓国とか香港とか行くとすごく楽しくて、映画を作ってるとこういうご褒美があるんだなぁと。いろんな人と知り合えるし、頑張って続けてみようと思ったんです。ただ僕らは2人だけでやっているので、1本作るのにだいたい1年くらいかかるんです。その後の1年くらいでいろんなところに持っていって上映してもらうというサイクルなので、だいたい2〜3年に1本というペースで作っています。

――岩佐さんも撮影の現場にも立ち会われるんですか。

岩佐 可能な限りすべて立ち会いますね。基本スタッフは僕ら2人だけで、今泉さんは監督兼撮影ですので、カメラを回していると荷物番もいないし、そうした雑用は誰かがやらないといけない。特に屋外ロケだと雑用係がいないのは厳しかったりします。

――岩佐さんは最初は音楽を担当されていましたけど、同じ創る作業でも映画と音楽ではずいぶん違いますか。

岩佐 そうですね。最初は粗編集した映像に音をつけてほしいと頼まれたんですけど、組み立てなおす段階になって、編集が終わったものから音をつけていく、という作業を僕と今泉さんと友人のオペレータの3人でやったんです。そのときに編集の基本を覚えていった感じですね。映画に出てくれる人、関わってくれる人は純粋に映画が好きな人ばかりでしたし、僕もそれと一緒になって楽しんでいました。

今泉 最初に音楽を頼んだときは、彼はまだ大学生だったんです。

岩佐 そうですね、大学の部活ではずっとジャズをやっていました。元々の映画好きという感じでもなくて、むしろあまり観ないくらいでした。

――今泉監督と出会ってから映画音楽を始めたわけですね。

岩佐 それまでは友達とライブをしたり、というのが自分の音楽活動の中心だったんですけれど、ここ10年くらいは主に映画や舞台用の音を作るようになっていますね。

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――10月20日(土)からシネマアートン下北沢で公開される『初戀』は最初から劇場公開を目指して作られたんですか。

今泉 全然そんなことはないんです。今回で4本目の作品なんですけど、自分の映画は自主映画なので、劇場で公開しようというような発想が全然なくて。まずは夏のLG映画祭での公開を目標にして、それから各国のLG映画祭をまわるというふうにずっとやってきたので。ですが、今年の東京のLG映画祭と意見があわなくて作品を引き上げたんです。

岩佐 それで、今年の4月にシネマアートンで「アジア・クィア・フィルム&ビデオ・フェスティバル(AQFF)」が開催されたんですけど、そこのスタッフをしている知人がアートンさんを紹介してくれて、それで支配人さんに作品を見ていただく機会があって上映が決まったんです。

――いざ劇場公開となるとやっぱり準備が大変でしたか。

岩佐 大変です(笑)。これまではテープ、資料、スチールを送って上映してもらったら終わりだったんですけど、今回はチラシを作るところからはじまって、チケットの売り方とか、まったく経験がないことばかりだったので。上映が決まったのが6月くらいで、そのときはまだ時間があると思っていたんですけど、まだ終わってません(笑)。
例えば劇場で公開される映画のチラシがどこそこに置いてあるとか、インターネットに情報が出てるとか、誰が動いてそうなっているのかなんて気にもしてなかったですけど、配給会社がやることを個人でやるとはこういうことか、と実感してますね。ルールを知らないので動き方がわからないんですね。「では映画の資料をください」とだけ言われても、何をどのくらい送ったらいいのか判らなかったり。いい勉強にはなりますけど。

――普段LG映画祭などのイベントに足を運ばない一般のお客さんに対して見せたいという欲求はあったんですか。

今泉 セクシュアルマイノリティの方にこそ見てほしいという思いはいまでもありますが、ここ数年はそこだけにこだわる必要はないのではないのか、と思い始めています。もちろんゲイの人たちにも見てほしいんだけど、これまでゲイの映画に興味がなかったり、見たことがないような人にこそ見てほしいと思ってます。

――今回の作品の構想というか、どういう考えをもって制作に取り組んだのでしょうか。

今泉 ひとつの答えを出したくないというのがあるんです。いろんな方法があるのを提示したかった。「作品を通じて伝えたいことはなんですか」とよく聞かれるんですけど、伝えたいというよりは、むしろ様々なことを感じてほしい、自分ならどうするかと考えてほしいというのが大きいです。
今回の作品では最後にカップルが結婚しますけど、同性婚を認めてほしいという強い主張があるわけではなくて、こういう方法もあるよって伝えたかった。
例えばヘテロセクシュアルの方で、自分のまわりには同性愛者なんかいなくて同性愛なんてテレビのなかの話だって思っている人にも、学校や会社や大切な家族の中に同性愛者がいたらあなたはどうしますか?って想像してほしいというか、考えてほしいんです。

――基本的にはゲイの人たちが中心となる話ですけど、その外の世界を母親という存在を通して表現されていますね。

今泉 まわりの人の話を聞くと、母親の存在というのが大きな壁のような気がしています。

岩佐 父親ってわりと社会的な存在ですよね。父親が認めてくれなければ家を飛び出してみるとか離れてみるとか、そういう選択も取りやすいと思うんです。もちろん人にもよりますが、母親に受け入れてもらえないという事実に耐えられる人ってそんなに多くないんじゃないかな。逆に母親に受け止めてもらえたときの安心感って大きいのかもしれません。

――今回の映画で登場するカップルの1人が古本屋で働いていますよね。ゲイの方の職業というと、例えば美容師とかデザイナーとか派手な職種がわかりやすい記号になっていると思うんですけど。

今泉 古本屋という設定自体にはそんなに意味はないんですよ。ただキャスティングが決まったときに、あの子が働いている場所は「客商売なんだけどちょっと閉じた感じがあるところ」がいいなと思ったんです。例えば、古本屋とか熱帯魚屋とか。カップルのもう1人は美容院で働いているという設定ですから、その対比も意識しました。

――みんなで手巻き寿司を食べるシーンはコミカルな感じもありますけど、語られてる内容は同性婚についてですからメッセージ性がありますよね。

今泉 そうですね。ただそこを真面目に語るのはいやだなと思ったんです。同性婚っていうテーマはヘビーですけど、一見そうは見えないようにしたかったんですね。見てるお客さんも疲れちゃうじゃないですか。

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――最後の結婚パーティーのシーンですけど、あれは比較的よくあることなのか、それともゲイの方の願望という度合いが強いのか、どちらでしょう。

今泉 海外で上映すると「日本では同性間結婚の法整備はどうなっているのか」という質問をよくされます。今の日本にはそういった法律がなにもないのが現状ですから、結婚したいと思っている同性カップルがカナダに行って結婚したり、パートナーシップ法が認められている国に移住する、といったケースはたくさんありますよ。日本でも同性のカップルが披露宴形式のパーティーをして自分たちの「結婚」を友人知人にお披露目する、という話はよく聞きます。いままで生きてきて、他人に祝福されるなんて想像もできなかった人たちが「おめでとう」って祝福されるのってすごいことじゃないかなと思いませんか?
映画の中では、主人公の男の子が自分は同性が好きだって気がついて、同性を好きになる人間なんて世界に自分1人なんじゃないかと悩みますよね。でもゲイの友達ができて同性の恋人ができて、まして好きな人と結婚できるなんて夢にも思ってもいなかったわけですけど、そういう子が、たとえお遊びでもみんなに祝福されるのはすごく嬉しいことなんじゃないかと思うんです。もちろんそれは、法律や権利とは別の話なんですけど。

――あのシーンの場所は新宿2丁目ですよね。

今泉 2丁目を知らない人が観たら、なんの変哲もない街並みですよね。あのシーンを撮影したのはaktaっていうコミュニティーセンターで、ゲイやバイセクシャルの人たちのためにHIVの情報を提供しているところなんです。最初はレストランとか教会を借りて派手にやりたいよねという話もあったんですけど……。それよりも道路に普通にごみ袋が置いてある昼間の2丁目で、しかもHIVの啓蒙活動をしている建物で2人が結婚式を挙げるっていうのは、たとえ2丁目だって伝わらなくたって、映画を作っている側にとってはとても意味があると思ったんです。コミュニティーセンター自体は「公民館」って呼ばれてて(笑)、わりとふらっと立ち寄れるいい場所なんですよ。

――岩佐さんは今回の作品についてどんな感想をお持ちですか。

岩佐 今泉さんのほとんどの作品を制作のプロセスを含めて何度も見ていますけど、だんだん現実世界に近づいてきているような印象です。最初の『憚り天使』はファンタジーの要素がかなり強くて、その次に撮った長編も新宿2丁目を舞台にしている作品ですけどおとぎ話っぽいというか、かなり非現実的な設定が全体を規定していました。その後にフェイク・ドキュメンタリー風の短編を一本作ってから今回の作品に至ったときに、映画のなかだけで成立している世界や理屈というのが薄くなってきていて、もちろん全部フィクションなんですけど、こういうこともある、こういう人っているね、と無理なく感じられる世界になっていると思いましたね。

今泉 この映画に関していうと、無理な設定を作りこまないで人物をきちんと描こうと思ったんです。今まではサラリーマンという設定があったら、それ以上のことはあまり深く決めなかった。でも今回は、例えば、この人の母親はどこに住んでいるのか、息子が事故に遭ったらすぐ東京に来られるならどこに住んでいるのかとか、人物の設定をいろいろ考えました。

――監督として俳優の演技にはこだわりますか。

今泉 キャスティングがすごく大事だと思っているんです。自主映画なのでギャラは出せないですから、そうするとプロの人ではなくて素人で出てくれる人を探すんですけど、はっきりいって自分の好みで人を探しますね。演技なんかできなくてもいい、普段のあなたでいいんですよという感じでやっています。とはいっても勘のいい人と悪い人がいるんで、まずはなるべく演出をつけないでやってもらって、そのうえでおかしいところを修正していくという感じで、その人に合ったやり方でやっているつもりです。
それと、素人の子だと怒って撮影にこなくなってしまうのが困るんですね(笑)。出てくれる子たちは本気で役者になりたいというわけではないので、なるべく楽しい現場にしようと心がけてます。「撮影に行きたい」と思ってもらえるような(笑)。
それはピンク映画の経験がすごく役立っています。ピンク映画やアダルトビデオの劣悪な現場も知っているから、役者さえ現場に来てくれればあとはどうにでもなるという、ある種、肝が据わっているところもあります。

――なるほど。シネマアートンでの上映ではほぼ毎日のようにゲストの方がいらっしゃいますね。

今泉 (興行的な意味で)有名な方をゲストで呼んでイベントをやったり、コメントをいただいたらどうでしょうと言われたんですけど、やっぱり自分の作品をちゃんと理解してくれる人とか、もしくは自分が興味がある人を呼びたい、と思ってお願いしました。

岩佐 今回、これを機に初めてお会いできた人もたくさんいるんです。今回お呼びするゲストはどなたも自分の仕事や活動の舞台をきちっと持っていらっしゃるので、そういう方々と映画を通じて繋がっていく事が出来るのは嬉しいですね。

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――海外はこれから行かれるんですか。

今泉 そうですね、今のところニュージーランドと韓国とインドネシアではすでに上映されていて、これが終わったら香港とブラジルが決まっています。

――しばらくは『初戀』で手一杯ですね。

今泉 来年一杯はそうなりますかね。それと海外で配給を手伝ってくれる人が見つかったので、新しいことができるかなと期待しています。今まではLG映画祭が中心だったんですけど、それ以外の場所で上映できたらとか、派手なことは望んでないんですけど、もうちょっと違う展開ができたらいいなあという希望はあります。

岩佐 映画を作って1年もすると僕らも過去の作品、としてしまうところがあるんですけど、地方で行われているLG映画祭に持っていくとか、上映会をやりたいといってくれる人と連絡を取るとか、新しい作品を作るのと並行して、今までの作品も見られるような環境を作るにはどうしたらいいかというのを考えるようになってきました。
今泉さんがさっきちょっと触れましたけど、アジアのインディーズ映画を世界配給している香港のNPOの方から連絡があって、『初戀』だけではなくて過去に制作した全ての作品を3年間預からせてほしいという話があって。全部自分たちでやっていると目の前のことしか対処できなくなってしまうので、将来のことも計画的にやらないとな、とは思っています。

今泉 シネマアートンで上映すると決まっただけでもいろんな人と繋がりましたね。

──韓国で上映したときの反応はどうでしたか。

岩佐 ソウルには主演の村上ひろしくんを連れて行ったんですけど、大人気でしたよ(笑)。

今泉 韓国は何年か前から日本のやおいマンガがものすごいブームになっていて、やおいファンの女の子のグループがあるらしいんです。一方では韓国の時代劇で『王の男』(05)という映画が大ヒットした時期に、ちょうど『ブロークバック・マウンテン』(05)とか『メゾン・ド・ヒミコ』(05)とかゲイが出てくる映画が集中的に公開されて、やおいファンとは別にゲイ映画好きの女の子のグループができたらしくて。その両方のグループが映画館に押し寄せて、肝心のゲイの子たちが行きづらかった、という話しも聞きました(笑)。劇場の9割以上の観客が女の子たちで、男の子がふらっと1人で見にいくとゲイじゃないかって疑われちゃうから見にいけないといってました。

岩佐 韓国の映画祭では若い女の子がすごく多くて、アメリカのゲイポルノのドキュメンタリーを見てたりとか、『初戀』に彼氏を連れて見にきたりしている子もいました。

今泉 『初戀』上映のときはお客さんの男女比が半々くらいだったんですけど、あとから主催の方に「あなたの作品の上映では飛び抜けてゲイのお客さんが多かった」といわれましたね。

岩佐 シネマアートンの上映ではやおい研究家の友人にトークショー出演をお願いしました。彼女はフィルムセンターで研究をされているような、映画にもとても造詣の深い方なので、是非出てください、と。

今泉 大学でもやおいをテーマに論文を書かれていますし、海外の映画祭でやおいプログラムを組んでもらえないかという依頼がきたりする人ですから、単なるやおい好きではなくて「研究者」ですよね。

岩佐 ただ、自分の印象ではいわゆるやおいやBL(ボーイズ・ラブ)作品は、ゲイ作品とは違う感覚のうえに成り立っている部分も大きいので、平行なまま両方あるという状態ですよね。お客さんもわりと勘違いしているところもあるみたいで。今回トークショーをお願いしたら、たぶん日本で私ほどその事について始終考えている人はいません、といっていただいたので(笑)。

――いろんな意味で楽しみですね。
最後になりますが、今泉監督は自分をゲイ映画専門の監督と思っているのか、広い意味での映画監督という認識なのか、どちらでしょうか。

今泉 あなたはなにをやってる人なんですかと聞かれたら、「ピンク映画の俳優をやっています」と答えていたんです。ただ、実際はもう4年くらい俳優をやってないんです。でも辞めたわけではなくて、今でも声がかかればいつでも出ますよというスタンスですし、このまま俳優としての仕事がこなくても自分はずっとピンク映画の俳優であるという認識はもっているつもりです。
逆に監督ですっていうのは恥ずかしいというか……それは単純に職業として成り立っていないというのもあるし、「監督です」といえるような自信もまだないんです。僕が知っているたくさんの、優秀な監督と一緒だとはいえないですよね。殺されちゃいますよ。最近は監督って呼ばれてしまうことが多いので慣れてきちゃいましたが、認識としてはまだピンク映画の俳優なんだという認識のほうが上。ただこれからは現実問題としては映画を作っていくほうが主流になっていくと思うし、自分でもそのつもりでいるから、やっぱり映画の制作をもうちょっとやっていこうという感じです。興味の対象がこの先ずれていくかもしれないですけど、しばらくは同性愛の恋愛やセックスについて撮っていきたいと思っています。誰もやらないからそこには隙間があるので、せっかくあるなら潜り込んでみようと。
あとは、今まで怖くて避けていたHIVの問題にも触れていかなくては、と思っています。最近やっと、自分でないと撮れないものがあるような気がしてきました。

(取材:武田俊彦 構成:高橋学)

『初戀/Hatsu-koi』
監督/脚本/撮影/編集:今泉浩一
出演:村上ひろし、松之木天辺、川島良耶、堀江進司、柴田惠、野原周作、伊藤清美
製作/配給:habakari-cinema+records

10月20日(土)〜11月2日(金)
シネマアートン下北沢にてレイトショー
* 連日20:30開映
* 期間中、舞台挨拶、イベントを連日開催
* 詳しくは公式サイトへ
http://www.shiroari.com/habakari/hatsukoi.html

[同時開催]
田口浩樹写真展「初戀」
10月15日(月)〜11月4日(日)
会場:community center akta
連日16:00-22:00まで開館
住所:新宿区新宿2-15-13 第2中江ビル301号室 
電話:03-3226-8998
posted by 映芸編集部 at 00:00 | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする