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2008年01月22日

『ペルソナ』
樫原辰郎(脚本・監督)インタビュー

ピンク映画の数々の脚本で知られ、監督作のピンク映画『美女濡れ酒場』が高く評価された樫原辰郎監督の最新作『ペルソナ』が公開される。ゲームに付随する映画のホラー『THE呪いのゲーム』なども撮ってきたが、劇場公開作としては初の一般映画になる。

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──どういう経緯で今作を監督することになったのでしょうか?

主演が山崎真実、アクション監督が谷垣さんでアクション映画というのは決まっていて、とりあえずプロットを書いたら評判が良くて企画が通り、その流れで監督もすることになったんです。

──山崎真実さんはグラビアアイドルですが、新体操をやっていたことでも知られるので、かなり動けたのでは?

そうですね。「轟轟戦隊ボウケンジャー」に悪役で「風のシズカ」として出演しているのを知って、YouTubeなどで見ました。これだけ動けるのなら、いろいろなアクションが出来るなと実感しましたね。

──一種のフランケンシュタイン映画にロードムービーが合わさったような内容が興味深かったです。

男と女のロードムービーは前からやりたいと思っていたんです。ただ、ピンク映画では予算、撮影日数などの面でロードムービーは難しいですけど、一般映画なら出来るかと。実際にやってみたら、タイトでなかなか大変でしたけど(笑)。

──ロードムービーで意識した作品はありますか?

ジョセフ・H・ルイスの『拳銃魔』とフリッツ・ラングの『暗黒街の弾痕』ですね。この2本は大好きな作品ですし、特に意識しています。ロードムービーというと、ニューシネマの作品を言う人が割りといますが、ぼくはニューシネマがあまり好きではなくて、それ以前のスタジオシステムが機能していたときの作品が好きなんです。

──他にも意識した作品はありますか?

ヒッチコックの『バルカン超特急』とハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』ですね。共に男女のやりとりを参考にしました。

──こちらも好きですが、樫原さんのホークス好きは友人の間では知られていますね。

ホークスは素晴らしいですよね。『ヒズ・ガール・フライデー』や『モンキー・ビジネス』など突拍子もないところもあるので、映画としては正統であってきちんと着地する。ああいう映画をいつも目指しています。

──今作には怪奇映画の影響も感じます。

今まで、怪奇映画とアクションはあまり合体していないなと思ったんです。特に若い女性が主人公ではね。これに気付いたときには「いい発想だな」と我ながら思ったんです(笑)。だから、その分野を開拓しようかなと。

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(C)「ペルソナ」フィルムパートナーズ

──怪奇映画で女性が大きな役で出てくるというと、ジェームズ・ホエールの『フランケンシュタインの花嫁』などですか。今作の山崎真実もフランケンシュタインのような一種の怪物です。

『フランケンシュタインの花嫁』は名作ですね。あの哀しみのある雰囲気はなかなかない。このあたりのクラシック作品が大好きなので、500円DVDやYouTubeでよく見ています。今作を作るにあたって、ホークスの『三つ数えろ』もそうやって見直しました。いい時代になったものです(笑)。

──そのあたりのことは、mixiの日記でも書いていますね。オーソン・ウェルズの幻の初期の短編のこととか。話が戻ると、ロードムービーとしてニコラス・レイの作品やジャック・ターナーの『過去を逃れて』も想起しました。

そんな凄い作品を想起してくれて光栄です。監督としては、まだ冷静に見られないので、どこまで出来ているのかは正直分からないのですが。

──ホラーでなく怪奇なんですよね。

ホラーといえば、Jホラーですが、黒沢清監督や高橋洋さんが多くの優れた作品をその分野で残しているし、ぼくも『THE呪いのゲーム』でJホラーはやりました。ただ、今回はホラーというより怪奇SF。今時これを的確にやっている監督は世界を見渡してもそんなにいない。偉大なのはやはりトビー・フーパーとクローネンバーグのお2人ですね。怪奇にはロマンスが合うんです。『スペース・バンパイア』もそうだし『ラビッド』もそう。それは今作で意識していました。

──主演の山崎真実さんはどうでしたか?

勘どころのいい方でしたね。新体操をやっていたから、足がよく上がるのでアクションも決まりますし。アクション監督の谷垣さんも高く評価していましたね。

──『ジョーズ』などで知られるカメラとズームを逆の動きにして不安感を煽るショットを使っていたのが印象的でした。

『シャイニング』などでも使われていますが、いわゆる『めまい』カットですね(笑)。あのシーンは現場で急きょやろうと決めたんです。主演の2人の今後の不安感を表すのに最適な方法だった。レールで下がって、ズームで寄っています。カメラマンからの提案だったんですが、カメラマンと監督は一種の共犯関係なので、あの提案は嬉しかったですね。

──監督自身が好きなショットはどこですか?

中盤の二階堂さんが巻き込まれるアクション・シークエンスとラストの俯瞰ですね。前者はアクションをうまく表現できましたし、後者は切なさを表現できたと思います。アクションも素晴らしく、スタッフ、キャストが一丸になって一生懸命作った作品なので劇場で是非観てほしいです。

(取材・構成:わたなべりんたろう)

(C)「ペルソナ」フィルムパートナーズ
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『ペルソナ』
監督・脚本:樫原辰郎
アクション監督:谷垣健治
出演:山崎真実 萩原聖人 鈴木砂羽 佐野史郎
2007年/HD/カラー/84分

1月26日(土)よりシネマート六本木、横浜シネマ・ジャック&ベティにてロードショー
*初日舞台挨拶あり

公式ウェブサイト http://persona-movie.jp/
posted by 映芸編集部 at 19:53 | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする