■試写室だより『ジェリーフィッシュ』
今年のベスト有力候補

 07年のカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(最優秀新人監督賞)受賞作と『アワーミュージック』の主演女優が出演という前情報のみで観てみた作品だが、これが素晴らしかった。イスラエル映画で、監督は公私ともにパートナーであるエドガー・ケレットとシーラ・ゲフェン。エドガー・ケレットは短編の名手や絵本作家として知られ、去年の映画でトム・ウェイツが出演している『Wristcutters: A Love Story』はケレットの短編の映画化である。今までにも脚本を何本か手掛け、短編も監督している。シーラ・ゲフェンは詩人であり、劇作家でもある。


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posted by 映芸編集部 at 2008/03/17 00:00 | レポート

■映画館だより『ファーストフード・ネイション』
多角的な視点から描かれた、出口無しの煮詰まった世界

 リチャード・リンクレーター監督の『ファーストフード・ネイション』は、エリック・シュローサーのベストセラーにもなったノンフィクション「ファストフードが世界を食いつくす」を映画化したもの。

 アメリカを覆う大手ハンバーガーチェーン(ファーストフード業界)の隠れた内幕を描いている。
 
 これはアメリカばかりでなく、日本でも中国製ギョーザ中毒事件が起きたり、食品業界で偽装や粉飾事件が相次いで発覚している状況もあり、旬な問題に触れている映画と言える。



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posted by 映芸編集部 at 2008/03/03 00:00 | レポート

■映画館だより『かつて、ノルマンディーで』
意義深い作品ながら、何かもう一つ物足りない……。

『かつて、ノルマンディーで』は敬愛すべきドキュメンタリー映画作家、ニコラ・フィリベール監督の4年ぶりの最新作です。
 
 30年前に助監督として彼が参加しキャスティングなどを担当した、ルネ・アリオ監督の『私、ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺害した』という映画の当時のロケ地をフィリベール自ら再訪し、映画に出演した地元の住民たちと再会してインタビューしていく様子が主に捉えられています。

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タグ:大口和久
posted by 映芸編集部 at 2008/02/21 00:00 | レポート

■試写室だより『胡同の理髪師』
儚なさと、あるべきものの正しさの同居

『胡同の理髪師』は〈人間の生活の営みの基本〉を見せつけられる映画です。
 
 この映画に登場する主人公は、役者ではなく、本当に93歳で理髪師をしているチン・クイさん本人なのです。
 
 この老理髪師が早起きして三輪自転車で常連客を回り、出張して理髪師の仕事をする姿や、TVばかり見ているお客の寝たきりの老人などに優しく接しながら髪を刈る描写、または仲間とマージャンをして過ごし、胡同の古い民家が取り壊されていく再開発の波の中で静かに生きている姿などがシンプルかつ淡々と素描されています 。

 しかしそうした描写の端々に、チン・クイさんの人柄と人間としての居住まいの正しさ、その細やかな人情味などが誇張されることなく自然と滲み出ています。



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posted by 映芸編集部 at 2008/02/15 00:00 | レポート

■映画館だより『連続不倫2 姉妹相姦図』
<春の本格ピンク映画>を見た

 1月17日午後、新東宝映画のプロデューサーである福原彰の監督第二作『連続不倫2 姉妹相姦図』を新宿国際名画座で見た。あいにく立て看板には「監督・深町章」と間違って描いてあったが、れっきとした福原彰の監督作だ。でも、もしピンク映画の熱心なファンがクレジットを確認せずに見る「めかくし鑑賞」をしたとしても、すぐに深町作品じゃないと気が付くだろう。それだけの個性というか、ガンコな雰囲気がすでにデビュー作と新作の二本に共通している。人はそれを喜んで作家性と呼ぶ。僕は性急に新進監督を作家として称揚することにやや反対だが……でも、ほんとにそう呼んでいいのかもしれない。

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posted by 映芸編集部 at 2008/02/07 00:00 | レポート

■試写室だより『KIDS』
大味にならず、意外と描写が丁寧な映画

『KIDS』は乙一の原作を映画化した、ファンタジーホラー人間ドラマといった感じの作品です。
 
 人の傷を自分の身体に移植させる超能力を持つ小池徹平がある時街にやってきて、粗暴で喧嘩早い玉木宏と出会います。玉木は小池の特殊な能力を偶然行きつけのダイナーで目撃し、興味を持ちます。
 二人は保護観察下にある者同士で、実は小池には家庭を巡る暗い過去があり、それとも関係して彼は自分の特殊な能力を使って他人を癒していこうとします。
 いつも二人が行くダイナーで働く栗山千明にも暗い過去があり、それが顔に残ったままなので小池は取り除こうとするのですが……。

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posted by 映芸編集部 at 2008/02/05 00:00 | レポート

■試写室だより『スエリーの青空』
灼熱の大地に刻まれたブラジル映画の現在

 ブラジルの国土の約半分を占めるアマゾンの熱帯雨林は世界的に有名だが、北東部に広がるセルタン(奥地)については意外と知られていない。ピアウイー、セアラ、パライーバ、ベルナンブッコ、アラゴアス、バイーアといった州の内陸部は降雨量が少なく、旱魃や飢饉が起こりやすい乾燥した荒地が広がっている。厳しい条件のなかで細々と農業や牧畜が営まれ、熱帯の楽園として潤う沿岸部に比べて観光や商業も低迷し、ブラジル国内でも特に貧しい地域である。仕事を求めて、北東部からリオ・デ・ジャネイロやサンパウロなどの都市に移住する人々は、ファヴェーラ(スラム街)の住人となることも多い。

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posted by 映芸編集部 at 2008/02/03 01:34 | レポート

■試写室だより『人のセックスを笑うな』
137分のフィルムに貫かれた、しなやかで強靱な作家性

『犬猫』の井口奈己監督の新作。観る前は137分の長尺が気になったが、そんなことは関係ない充実作だった。

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posted by 映芸編集部 at 2008/02/01 00:00 | レポート

■試写室だより『ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ』
ただのオーソドックスな映画化、とは言えないような批評的な映画

 この作品は、平凡な高校生・市原隼人の前に夜な夜な謎のチェンソー男と戦う制服の美少女・関めぐみが現れ、彼女に惚れた市原は応援するという形でチェンソー男との戦いに関と共に没入していくことになる……というちょっと変わった設定です。

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タグ:大口和久
posted by 映芸編集部 at 2008/01/30 00:00 | レポート

「映画芸術」ベストテンワーストテン決定

「映画芸術」誌、2007年度日本映画ベストテン/ワーストテンが
決定いたしましたので、ご報告いたします。
詳細については1月30日発売本誌422号にて掲載いたします。

本年度も「映画芸術」をなにとぞよろしくお願いいたします。

ベストテン
1 サッド ヴァケイション(青山真治監督)
2 それでもボクはやってない(周防正行監督)
3 天然コケッコー(山下敦弘監督)
4 魂萌え!(阪本順治監督)
5 松ヶ根乱射事件(山下敦弘監督)
6 叫 さけび(黒沢清監督)
7 しゃべれども しゃべれども(平山秀幸監督)
8 サイドカーに犬(根岸吉太郎監督)
9 国道20号線(富田克也監督)
10 ジャーマン+雨(横浜聡子監督)

ワーストテン
1 大日本人(松本人志監督)
2 俺は、君のためにこそ死ににいく(新城卓監督)
3 監督・ばんざい!(北野武監督)
4 恋空(今井夏木監督)
5 さくらん(蜷川実花監督)
6 オリヲン坐からの招待状(三枝健起監督)
7 スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(三池崇史監督)
8 遠くの空に消えた(行定勲監督)
8 どろろ DORORO(塩田明彦監督)
10 蒼き狼〜地果て海尽きるまで〜(澤井信一郎監督)
*8位は同点により2作品となります。

なお、ベストテン第9位の『国道20号線』を
2月12日(火)の映芸マンスリーにて上映いたします。
興味のある方は是非ご来場ください。
詳細は下記のURLにてご確認をお願いします。
http://eigageijutsu.com/article/79481824.html
映画芸術の読者でない方もお気軽にどうぞ。
タグ:映画芸術
posted by 映芸編集部 at 2008/01/15 00:00 | レポート