■映画館だより『レンブラントの夜警』
幻視される物語

 私はレンブラントの「夜警」を見たことがない。2002年から2003年にかけて京都、東京で立て続けに開催された展示会「大レンブラント展」「レンブラントとレンブラント派」でも見ることは出来なかった。18世紀以降、通称「夜警」と呼ばれる「フランス・バニング・コック隊長とヴィレム・ファン・ラウテンブル副隊長の市民隊」はオランダの至宝としてアムステルダム国立美術館に鎮座ましましているのだからそれも当然であろう。そう簡単に国外の美術館に貸し出されることなどないし、ましてや、映画の公開に合わせて日本に持って来れるようなそんな安っぽい代物ではないのだ。

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タグ:榎本敏郎
posted by 映芸編集部 at 2008/01/13 00:00 | レポート

■映画館だより『サラエボの花』
「戦後」の始まり

 父方の祖父は特攻兵だった。出撃の二日前に終戦を迎えたので命は助かったのだが、その話は祖父の葬式で初めて知った。生前の祖父から戦争の話を聞かされた記憶はない。いつも野球の話ばかりしていた。『俺は、君のためにこそ死ににいく』では、戦争で生き残った特攻兵の徳重聡が周囲の冷たい視線を浴びながら戦後を生きていた。祖父も同じような経験をしたのだろうか。



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posted by 映芸編集部 at 2007/12/25 00:00 | レポート

■試写室だより『夜顔』
こにくらじいさんの優雅な愉しみ

 マノエル・ド・オリヴェイラの新作『夜顔』は、かなり素晴らしい。なにがと言って、ブルジョワジーの高慢への冷たい侮蔑を、ウィットに富んだディティールで優雅に包装して差し出す、完璧なほどの底意地の悪さが素晴らしい。オリヴェイラという人は、驚嘆すべきワルである。今まで、軽薄な上流階級の女性をとことんいじめる映画といえば、イーストウッドの『ホワイトハンター ブラックハート』が白眉かと思っていたが、本作の勝ちだ。あちらはエピソードの一つ。こっちは全編がそうなんだから。

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タグ:若木康輔
posted by 映芸編集部 at 2007/12/17 00:00 | レポート

■試写室だより『エンジェル』
私の中のパラダイス建築に向けて

“The trick in life isn't getting what you want, it's wanting it after you get it.
(人生の喜びは得ることではなく、得たものを大事にすること)

 映画『めぐり逢い』のリメイク版で、老女が言っていたのを思い出した。思い通りにできることが幸せと言う若い娘に対して、「得ることは簡単よ」と。
 「自分が男であるからこそ、女性を客観視でき、そして女性を表現できる」と語るフランソワ・オゾン監督の2007年の新作『エンジェル』は、欲する全てを得ようとする女の夢とその成れの果てを皮肉たっぷり、色彩豊かに描いた映画である。この映画は夢を抱き、夢を叶えるサクセスストーリーではない。小説家になりたい少女が売れっ子作家になってからが面白い闘いの日々で、そこから話が始まる。実在の作家をモデルにしているとは言っても、上辺の物語は作り物だ。しかし、そこにある女性の欲望や感情は誰もが持ちえるもので、つまり内面には忠実なので、私にもエンジェルは痛切に角膜に映る。
 欲しいものを手に入れました―それで?だから?どうするの?
 問いかけてくるのだ。

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タグ:小浜公子
posted by 映芸編集部 at 2007/12/11 00:00 | レポート

映画と落語の微妙な関係2
『やじきた道中 てれすこ』

落語家の青年を温かく軽妙に描いた『しゃべれども しゃべれども』が本年公開されたばかりの平山秀幸監督最新作は、またしても落語を題材にした作品でした。ということで、前回同様、落語家・夢月亭清麿師匠と演芸作家・稲田和浩さんをお招きして、映画と落語の関係について語っていただきます。

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posted by 映芸編集部 at 2007/12/04 00:00 | レポート

■試写室だより『カーネーション/ROCK LOVE』
結成24年のバンドに見る、生き様としてのロック

 カーネーションのライブツアーを追ったドキュメンタリー映画だが、それだけではない「日本でロックバンドを長年にわたって続けるとはどういうことか?」という矜持が詰まった映画に仕上がっている。監督は、同じくバンドのドキュメンタリー映画で、東京スカパラダイスオーケストラを追った「SMILE〜人が人を愛する旅」で高い評価を得た牧野耕一。

カーネーションve場面写1.jpg

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posted by 映芸編集部 at 2007/11/24 03:55 | レポート

■試写室だより『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』
それでも映画は世界の窓なのだ

 ちょうど一年前にハンガリーで大ヒットを記録した『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』は、とても複雑な映画だ。先を予想させない筋立てや細部に仕組まれた演出の仕掛けがどうこう、ではなく、見た後の感想に困るという意味で。
 見た後の感想に困る映画とはすなわち、良否・好悪をハッキリ判断しにくい映画だ。判断しにくいものは、話題になりにくい。映画ファンのサイトやブログでも反応が鈍い。性分柄、そういう映画にこそグズグズと何かを言いたくなる。『君の涙〜』の場合、文芸調なりアクションなりのトーンが統一されて上手くまとまった秀作よりも屈折が深く、そこに感じるべきものがある。そして、感想に困るタイプの映画のためにこそ「映画芸術DIARY」が存在するのだ……と思うんですけど、どうでしょう。

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タグ:若木康輔
posted by 映芸編集部 at 2007/11/16 00:00 | レポート

■東京国際映画祭日記

初めての六本木ヒルズ、初めての東京国際映画祭ーー
「ワールドシネマ」「コリアン・シネマ・ウィーク2007」を観る

text by 川崎龍太(「映画芸術」スタッフ)


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posted by 映芸編集部 at 2007/11/13 00:00 | レポート

■試写室だより『ONCE ダブリンの街角で』
アイリッシュ・ミュージックに彩られた普遍的な恋愛風景

とても小さな、小さな映画。
それでいながら、心の琴線に触れる。

観ている間の気持ちが何とも切ない良作。
誰もが登場人物にどこかで共感できるからだろう。
ここで描かれる恋愛は普遍的なものである。

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posted by 映芸編集部 at 2007/11/09 00:00 | レポート

■試写室だより『グッド・シェパード』
「公僕」は映画の主人公たり得るか

 学生時代、予期せぬことが起こると何かにつけ「CIAの陰謀か?」と口走る友人がいた。当時から集英社文庫で多くの著作が出ていた落合信彦なんかを読んでいた男だから、何となく陰謀史観的なことを好んで他愛無く口にしていたのだろう。
 CIAの陰謀、なんて云い方は同語反復だろうと云うくらい、自国のために世の裏側で暗躍して情報を収集し、果ては国家転覆までも画策する悪名高き組織であるCIA・アメリカ中央情報局。ロバート・デ・ニーロが『ブロンクス物語/愛につつまれた街』以来13年振りの監督作に選んだのはそのCIAと云う組織の中で生きる男の物語。とは云っても主人公を演じるマット・デイモンが他の主演作で見せるスパイアクション映画などでは勿論なく、この『グッド・シェパード』で描かれるのは第二次世界大戦前夜、CIAの前身であるOSS(米軍戦略事務局)発足から冷戦下、キューバのカストロ政権転覆を目論みながらも失敗するピッグス湾事件へと至る史実を背景としたドラマだ。

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タグ:榎本敏郎
posted by 映芸編集部 at 2007/10/24 09:24 | レポート