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<title>映芸マンスリーVOL14 &lt;br&gt;「『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』メイキング」 &lt;br&gt;若松孝二（本編監督）トーク</title>
<description> 6月9日に行われた「映芸マンスリーVOL14」のトークショーには、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の若松孝二監督が登場。革命を目指した若者たちが「あさま山荘事件」を起こしてしまうまでの道のりをドキュメントタッチで描き出した本作は、東京国際映画祭の〈日本映画・ある視点〉部門で作品賞を受賞し、ベルリン映画祭では最優秀アジア映画賞（NETPAC賞）および国際芸術映画評論連盟賞（CICAE賞）をＷ受賞しました。 古希を過ぎてなお衰えぬ映画への情熱と、インディペンデント精神を貫...</description>
<dc:subject>インタビュー</dc:subject>
<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
<dc:date>2008-08-06T19:11:36+09:00</dc:date>
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　6月9日に行われた「映芸マンスリーVOL14」のトークショーには、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の若松孝二監督が登場。革命を目指した若者たちが「あさま山荘事件」を起こしてしまうまでの道のりをドキュメントタッチで描き出した本作は、東京国際映画祭の〈日本映画・ある視点〉部門で作品賞を受賞し、ベルリン映画祭では最優秀アジア映画賞（NETPAC賞）および国際芸術映画評論連盟賞（CICAE賞）をＷ受賞しました。<br />　古希を過ぎてなお衰えぬ映画への情熱と、インディペンデント精神を貫き続ける強さはいったいどこから生まれているのでしょうか。焼酎のグラスを片手に現れた若松監督は「映画は学校を出れば撮れるってもんじゃない。志の問題だよ」と熱っぽく語ったり、かと思えば「とにかく客が入ってくれないと困るんだよ」と笑って会場を和ませたり。ますますわからなくなってしまいました。<br />（司会・構成：平澤竹識、写真：矢吹健巳）<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_004.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_004-thumbnail2.jpg" alt="DPP_004.jpg" width="200" height="300" border="0" /></a><br /><br /><a name="more"></a>ちょっと早く着いたもんだから、飲み過ぎちゃって（笑）。なに話したらいいのかなぁ。<br /><br />――メイキングを上映した後なので現場や演出のことについて伺いたいんですけれども、最初に内容的な部分に関してもいくつか聞かせてください。あさま山荘事件が起きた当時、監督は事件についてどう思われたんですか。<br /><br />最初にテレビを見た時、鉄球がドーン！と山荘にぶつけられていて、なんでだろうという気持ちでずっと見てたんだ。そのうち山荘の中に連合赤軍の連中がいるということがわかってね。ただ、彼らは中から銃を撃っているだけ。テレビではそういう姿しか見せてくれなかった。当時の視聴率は89.7％で、マスコミのいろんなところから電話があったけど、僕は居留守を使ってテレビばっかり見てました。僕としては彼らを支持してる部分があったんですね。国家に銃口を向けた瞬間は手を叩きましたよ。「おーやれやれ」とテレビを見ながら思ったけど、メンバーが捕まってから粛清の事実が明らかになって、遠山（美枝子）があそこで殺されたと知った時はものすごく腹が立った。なぜかと言うと、遠山は元々、俺と足立正生が撮った『赤軍PFLP－世界戦争宣言―』（71）という映画の上映運動を手伝ってくれていて、その途中から連合赤軍に加わったらしいんだ。それで本当に腹が立って、森（恒夫）と永田（洋子）は許せないと思ったんだけれども、いろいろ調べてみると、森も本当は優しい男だということがわかって、永田もべつに悪い女じゃなかった。だから、集団というのはどうしても人間を変えていくんだなっていう思いが強かったね。<br /><br />――あさま山荘事件というのは、世間の枠組みから外れてしまった若者や反権力の志向という点で、監督がずっと描いてきたモチーフを内包している事件だと思います。なぜこの題材を映画化するまでに30年以上もの時間がかかってしまったんでしょうか。<br /><br />この事件を描くのに俺が適任という意識はなくて、別の誰かが撮ってくれるものだと思ってました。まぁ長谷川和彦が撮るって聞いてたから、ゴジだったらまともなものが撮れるだろうと。でも、『突入せよ！ あさま山荘事件』（02）を観た時に、権力側から映画を作ってることに憤りを感じてね。おかげで連合赤軍を撮ろうと本気で思えるようになったんです。だから、今となってはあの映画にはとても感謝してるんだ。<br /><br />――そんな思いもあって、『実録・連合赤軍』が3時間10分という長さになったと。<br /><br />そりゃあ、この映画が長いって言う人もいますよ。団塊の人たちは、時代の説明は要らないって言う人が多い。だけど、若い人はそこから見せないとわかんないんだよ。<br /><br />――そうですね、僕の友人でも事件を知らない人はいますから。<br /><br />そういう人のためにもあの説明は必要なんだ。最低でも30万人の人がこの映画を観てくれないと俺は元を取れないんだよ（笑）。だから、みんながわかるような映画にしたいと思ってました。でも、知ったかぶりする連中は映画の文句だけ言って、自分は何もやらない。「ヒマがあるなら何かやれ、この野郎」って言いたくなるよ。「今でも闘えよ、ヨボヨボになっても闘え」って思う。やっぱりみんな闘わないじゃん。知らん顔してさ。ゴールデン街で酒飲んでわめいてるんだったら何かやれって言いたい。俺は、今の若い人がこの映画を観て、わかってくれたらいいなと思う。こういう事件が起こらないような世の中を作らなきゃいけない、この時代の人は頑張ってたな、俺たちもなんかやらなきゃいけないな、と思ってくれたら、それでいいと思ってるんです。だから、人がなんて言おうが構わないけれども、とにかく客が入ってくれないと困るんだよ（笑）。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_006.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_006-thumbnail2.jpg" alt="DPP_006.jpg" width="200" height="300" border="0" /></a><br /><br />――先ほど名前の出ていた遠山美枝子さんの存在が、この映画を撮ろうとする大きな動機の一つとしてあったんでしょうか。<br /><br />映画を観た人から遠山への思い入れが強いんじゃないかと言われることがあるけど、自分としては、そのつもりはないんだよ。ただ、あのメンバーの中で本当に知ってるのは遠山だけだからね。<br /><br />――「時効なし。」という本を読むと、監督は連合赤軍メンバーの坂東國男さんとも交流があったようですね。<br /><br />あさま山荘の中の出来事や会話というのは、坂東君から聞いた話がベースになってるからね。僕は毎年正月にパレスチナへ行ってるんですよ。餅とあんこと明太子を持ってね。正月だから、あんこ餅を食わせようと思ってさ。その間に坂東君にも会ったりして。彼にも山荘の中のことは喋っちゃいけないという意識があったみたいだけれども、だんだん僕に気を許してくれるようになって、中で何が起きていたのか聞いてみたら、ある時ベーカー高原で話してくれたんだ。映画の中ではある程度デフォルメしてるけど、それは僕自身の理解でああいう形になったということでね。おそらく、あさま山荘の中は誰にも撮れないでしょう。でも俺は、坂東君の話なんかを聞いてたから撮れたんだと思う。<br /><br />――そうやって頻繁にパレスチナへ行って、前線で戦っている人たちと交流があったからこそ、70歳近くになっても闘う姿勢を維持できるというところがあるんでしょうか。<br /><br />今やめちゃうとカッコ悪いんですよ。足立もパレスチナから帰ってきて、68になってガキ作ってるしさ（笑）、俺もやめてスッといきたいなんて気持ちもあるんだけど、そうしちゃったらなんかカッコ悪いじゃん。ここまでやってきたから、死ぬまで何かをやってないとしょうがないと思ってるんだよね。<br /><br />――歳を重ねるに従って年齢に合った題材を選ぶようになる監督も多いですよね。それでも若松監督が若者にこだわっているのはなぜなんでしょう。<br /><br />今、現役で撮ってる監督で、僕は上から5番目なんですよ。上から新藤兼人（1912年生まれ）、山田洋次（1931年生）、佐藤純彌（1932年生）、降旗康男（1934年生）で、その次が若松孝二（1936年生まれ）になっちゃってるんだよ。でも、年寄りの映画撮ったって面白くないでしょう。誰も観に来ないじゃん。だから、最近はずっと17歳の映画を撮りたいと思ってるんです。自分では「17歳三部作」って呼んでるんだけど、『17歳の風景 少年は何を見たのか』（05）と、加藤元久を中心にした今回の『連合赤軍』、それから次は17歳で浅沼稲次郎を暗殺した山口二矢を撮りたいと思ってる。『連合赤軍』も最初は元久の話だけで撮ろうと思ったんだよ。だから、最後の方は元久の視線でずっといってるでしょう。映画を撮ってる人ならわかると思うけど、シーンの最後が必ず元久の顔で終わってるのはそのせいなんだ。<br /><br />――彼の「勇気がなかっただけ」という印象的なセリフがありますが、あれは途中から付け足したものなんですか。<br /><br />最初はなかったセリフなんだけど、元久が「みんなが勇気を持って森さんと永田さんにもうやめようって言ってくれたら、お兄ちゃんも死ななくてすんだのに」って坂東君にぽつりと言ったらしいんですよ。その時に坂東君はものすごくへこんで、こんなに辛いことはなかったって話してくれてね。それをフッと思い出してあのセリフを付け足しました。やっぱり元久にとっては、あの時みんなに勇気があれば、お兄ちゃんも生きてたんじゃないかという気持ちがあったんだね。<br /><br />――ちなみに、あさま山荘事件を映画にしようという時に、「実録」スタイルでいこうと決めたのはなぜだったんですか。<br /><br />まぁ、実録と言っても映画ですからね、あの時代を撮ると言っても風景も変わってるし、いろんなことが変わってるから、完全に実録で撮れるわけがない。ただ、内容だけはなるべく実録に近い形で撮ろうとということでタイトルに「実録」と付けたんです。なんで彼らがあさま山荘まで行ったのか、その過程を描くという意味でね。でも、再現フィルムじゃないから、2割ぐらいは自分の言いたいことを言わせてるし、そこは自分の表現と割り切ってやってます。<br /><br />――あさま山荘のシーンは若松監督の別荘を使って撮影されているわけですよね。普通に考えると、そんなことが実際に可能なのかと思ってしまうんですが、それでもいけると判断したのはどうしてなんでしょうか。<br /><br />あさま山荘の中は誰も知らないからね（笑）。表は撮らないわけだから、中をどう撮ろうが問題じゃない。それに、彼らが山荘の中で何をしたのか、どういう会話を交わしたのかということを俺は撮りたかったわけだから、どこで撮影しようが関係ないんだよ。あの別荘だってピンク映画作ってコツコツ稼いで建てたものだから、映画でぶち壊すぶんにはまぁいいだろうと。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_009.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_009-thumbnail2.jpg" alt="DPP_009.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br /><br />――メイキングの最初にオーディション風景が映っていましたが、連合赤軍のメンバーはほとんどオーディションで選んだんですか。<br /><br />全部オーディションですよ。でも、マネージャーを現場に連れてきたらダメ、一人でいらっしゃいというのが僕の条件だったんです。だから、ARATAとか坂井（真紀）さんのことは知らなかったんですよ。オーディションの時に助監督が有名な俳優が来てるって言うから「どれや？」って聞いたんだけど、ARATAなんか髪は長いし茶色に染めてるし連合赤軍になれるわけないって感じでさ。坂井さんは歳がちょっといきすぎてるかなと思ったんだけど（笑）、なんでオーディションに来たのか聞いたら、エキストラでもいいから出たいって言うんだ。で、2人とも1次は通したの。そしたらARATAは2次の時に、坊主にしてきたんですよ。やる気のある人だけをキャスティングしようと思ってたから、これはいけると思ってね。今回はギャラも全員同じで、小道具係もメイクも衣装もいない。自分たちで全部用意しろ、その代わりリュックサックに入れるものはこっちで準備するからと、基本的には全部自分たちでやらせたんです。宿は最初、ベースキャンプの小屋に俺も一緒に泊まろうと思ったんだけど、寒くてとてもダメでね（笑）。近所にロッジがあったから、役者は全員4人部屋に泊まらせたんです。<br /><br />――準備段階でのそうした振る舞いには演出的な意図もあったんですか。メイキングを見ると、役者さんたちに強い連帯感が生まれていたようですが。<br /><br />つまり、みんな俺のマジックに引っかかったんだろうな（笑）。みんなイケメンで今どきの顔してるじゃん。そうすると赤軍の顔にするにはしんどい思いをさせないとムリじゃないかと思って、ボロクソに怒ったりもしてね。メイキングでも俺なぜか不条理に怒ってるよな。<br /><br />――映ってる限りでは、実際的な指示を出してるなぁという印象でしたけど。<br /><br />ほんとはもっといろんなところで怒ってるんだけど、それをカットしろって切らせてるんだよ（笑）。スタッフも含めた全員が緊張感を持って撮影に臨むためにはそういうことも必要なんです。だいたい僕は夜遅くまで仕事するのが嫌いだし、夜はみんなでお酒を飲もうというタイプだから、ダラダラ撮影したくないんだよ。<br /><br />――メイキングの中で役者さんが、リンチで殺されたり逃走したりする順番に人がいなくなっていくという話をしてましたけど、そういう撮影の順番にも演出的な意図があったんでしょうか。<br /><br />時系列で撮ってるわけじゃないんだけど、そうやって精神的に追い詰めていくことも演出家の仕事ですからね。カットを割るだけじゃなく、俳優さんにどういう芝居をさせるか、それをどう撮るかが俺たちプロの仕事だから。ただ実を言うと、今回の現場に劇映画のプロは2人しかいなかったんですよ。僕と録音部の久保田（幸雄）さんだけ。カメラマンの辻（智彦）さんも劇映画は撮ったことがないんです。今回はこの映画をどうしてもやりたいってやつと一緒にやろうと思って、助監督も見習いの女の子4人と男1人だけだった。今回は僕の両腕とも言える制作担当と助監督の2人が逃げたんですよ。逃げたと言うか、奥田瑛二の現場へ行っちゃった。そりゃあ奥田瑛二の仕事の方がギャラは高いよな（笑）。<br /><br />――そういうスタッフ編成で撮影に入るのは勇気がいることじゃないんですか。<br /><br />プロはなんか言うとすぐ「できません」って言うんだよ。でも、金がありゃできるんだ。例えば、最後の放水の場面をどうしようかって言うと、プロだったら東京から呼ぼうって言う。放水の専門家がいるからね。でも、東京から呼ぶと何百万もかかるんだ。それなら近所の消防車が来てくれたらいいわけですよ。それを交渉に行ってこいと言ったら、プロは行かない。今回、制作を担当した女の子は知り合いの編集会社に勤めてた子なんだけど、彼女は市役所まで平気で交渉に行くんですよ。それでちゃんと借りてくる。あの消防車は1日借りて5千円だからね。2台で1万、2日借りても2万でしょう。東京から呼んだら何百万ですよ。そういうことを素人はちゃんとやってくる。あれがプロの制作部だったら、最初からムリだって考えて、東京から呼ぶでしょうね。<br /><br />――ただ、やる気があっても経験不足ゆえに現場がうまく回らないという場面も出てきたりするんじゃないですか。<br /><br />映画はそんなことないんだよ。俺だって監督になれるんだから。俺なんか農業高校を1年しか出てないよ。でも、映画は学校を出れば撮れるってもんじゃない。志の問題だよ。自分が本当にこういうものをやりたいってずーっと思っていれば映画はできるんだ。映画監督協会には570人も会員がいるけど、みんな才能があるのに撮れないって言ってる。けど、偉そうに椅子にふんぞり返ってたって撮れるわけないんだ。山田洋次なら別だよ。松竹が金を出してくれるんだから。普通の監督は自分で企画を立てて、どうすればお客さんが来てくれるのかを考えて、自分の足でお金を集めなきゃ映画なんか撮れないよ。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_005.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_005-thumbnail2.jpg" alt="DPP_005.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br /><br />――今回の映画は個々の役者さんを演出するというよりも、集団を演出する場面が多かったと思います。そういう集団の演出に関して、監督なりのテクニックみたいなものはあるんですか。<br /><br />最初に俳優さんが集まった時に、「オペラ観に行ったことあるやついるか」って聞いたんだ。そしたら1人もいなかった。オペラっていうのは、見られていようがいまいが、後ろにちっちゃくしか見えない役者でも芝居してるでしょう。この映画も同じで、カメラに映っていようがいまいが、誰かのアップを撮ってる時にも芝居をしてなくちゃダメだと、そういう演出の仕方をしたわけ。どこにキャメラを置いて、どう撮ってもいいように。だから、ワンカットワンカットとにかく全員が芝居をしています。<br /><br />――続けて一連の芝居をしてるところを、いろんなポジションから何度も撮影するというやり方だったんですか。<br /><br />僕のやり方は、とにかく全員をその場所にブチ込んで、一回芝居を見せてくれってやるんだよ。で、細かい動きは付けない。そうすると、幹部役は幹部役で自分たちの席を決めちゃうんだよな。自然と決まっていくんだよ。俺はそれを黙って見てるだけ。そのうち「おぅ、芝居を見せてくれないか」ってライティングも何もしないでやらせるんだ。最初は小手先のチャラチャラした芝居をするんだけど、「そんな芝居よく恥ずかしげもなくやるなぁ」と段々いじめに入っていくわけだよな（笑）、役者を悔しがらせるために。それで、もういいかなって時に「さぁ、いこうか」と、ライティングしてカメラのポジションを決めていく。役者には「どこにパンするかわかんないから、芝居だけちゃんとしてろよ」と言ってね。<br /><br />――撮影中にどこを撮ってるのか把握してるのは監督とカメラマンだけなんですか。<br /><br />そりゃそうだよ。<br /><br />――カメラは2台回してたんですか。<br /><br />そうだね。１台の時もあったけど。<br /><br />――「時効なし。」の中で、原田芳雄さんが若松監督は編集がうまいと話されてるんですが、監督は撮影してる時から編集後のイメージまで出来上がっているものなんですか。<br /><br />ホン作ってる時から決めてるね。頭に全部入ってるから。ただ、コンピューターで編集してるんだけど、俺はコンピューターを使えないんだよ。それで助監督に作業してもらうんだけど、なかなか欲しい映像が出てこない。フィルムならパーッと器械を回せば絵が出てくるじゃない。コンピューターはそうじゃないんだ。だから、後ろに俺が座ってて「なんで出てこないんだ！」って椅子蹴っ飛ばしたりするんだよ（笑）。まぁ、時々一緒に焼き鳥食いに行ったりしてフォローはしてるけど。<br /><br />――メイキングの中でも役者さんを別荘に呼んで一緒にお酒を飲んでいるシーンがありましたね。<br /><br />それはもう全部フォローしてますよ。そうすると、みんなすぐ泣くんだよな。<br /><br />――でも、坂東役の大西（信満）さんはかなり怒られてましたね。<br /><br />役者にも助監督にも怒られ役というのを１人作るんだよ。だから大西のことは不条理に怒ったけど、あいつ、なんか怒られやすい顔してんだよな（笑）。<br /><br />――それで萎縮しちゃうタイプの人もいるんじゃないですか。<br /><br />それはちゃんとわかってるから、萎縮するタイプの子は怒らない。大西は根性のあるやつだからね。いくら怒ってもそうはならない。だから、飯食いにも連れて行かなかったけど、みんなで集まってる時はやっぱり幹部面してるからね（笑）。いや、大西は最初の芝居がマズかったんだよ。最初に『赤目四十八瀧心中未遂』（03）の芝居しやがったから、あれとこの映画は違うぞって怒ってさ。喋り方から何から全部変えていったんだから。<br /><br />――怒られ役の人がいると、現場にどんな効果が生まれるんですか。<br /><br />スタッフから俳優さんから全員が緊張するってことだよ。監督はみんなそうだと思うけど、助監督に怒られ役を作って、間接的に他のスタッフを怒ったりするわけ。いいスタッフはその時に自分が怒られてるなってわかるんだよ。役者もそう。例えば、あさま山荘のシーンの撮影中にフッとモニターを見たら黒いジャンパーを着た大西がお面みたいに暗い顔しててね。「大西、バカ野郎！！おめぇはカッコつけて革ジャンなんか着やがって！」って怒ったの。だけど、本当は照明部を怒りたかったんだ。もっと大西にライト当てろって。でも照明部は2人だけで必死にやってるから、あんまり怒るわけにもいかない。でも、そう言ったら照明部がすぐに気が付いて、ジャンパーに明かりを当てろってやってたけどね。そういう怒り方っていうのもあるんだよ。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_010.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/interview_image/DPP_010-thumbnail2.jpg" alt="DPP_010.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br /><br />――映画のパンフレットでも、メイキングの中でも、監督はものすごい早撮りだという話が出ていましたが。<br /><br />そりゃあ、テストでもカメラ回したりするからさ。本番て言うと俳優が緊張するから、「テストいこう！」って言いながら、カメラ回しておくように言って、終わったら「はいOK」。俳優さんによっては、本番て言うとカッコつけちゃう人もいるからね。<br /><br />――パンフレットの中の撮影日誌に、迦葉ベースの撮影が3日の予定だったのに監督が突然1日で終わらせると言い出したというエピソードが書かれていましたが、そういう時はどんな勘が働いてるんですか。<br /><br />だいたいの尺数を考えて、これ以上しつこく撮ったら長くなり過ぎると思ったんで、全部やめることにしたんですよ。普通の監督さんなら撮っておくだろうけど、俺は昔からフィルムをあまり使いたくないっていう貧乏性なところがあって、無駄なカットは撮りたくない。それでも撮ったシーンを全部繋げたら5時間になったんだから。<br /><br />――そこから完成尺の3時間10分という長さに編集する時はどういう判断で切っていくんですか。<br /><br />自分の撮ったものってなかなか切れないんですよ。だから、そういう時は現場に付いてない人、映画と関係のない人に観てもらうんだよね。そうすると、「これはしつこい」とか「これは見るに耐えない」とか言われる。だから、切った部分のほとんどは粛清のシーンだね。おそらく3分の1ぐらいしか使ってない。やっぱり俺は最後の山荘のところを観てもらいたかったから、粛清のところはある程度残して思い切り切ったんだよ。スタッフとか映画の業界にいる人間だと「5時間でも見せましょう」なんて言うんだけど、やっぱりお金を出して観に来てくれる普通のお客さんのことを考えるとね。<br /><br />――そろそろ時間なんですが、監督に何か質問したいという方がいらっしゃいましたら、手を挙げてもらえますか。<br /><br />〈観客による質疑応答〉<br /><br />――今日は若松監督が映画のパンフレットを持って来てくださっています。サインもしてくださるそうなので、買いたいという方はここに残ってください。<br /><br />10冊しかないんじゃないかな。もう、これ持って来るの重かったんだよ（笑）。<br /><br />――じゃあ、この辺で終わりにしましょうか。<br /><br />今日はどうもありがとうございました。まぁ、一緒に飲みましょう。……焼酎ちょうだいよ。<br /><br />（6月9日 乃木坂「ＣＯＲＥＤＯ」にて）<br /><br /><br />『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』公式サイト：<a href="http://wakamatsukoji.org/top.html" target="_blank">http://wakamatsukoji.org/top.html</a><br /><br /><em>次回、８月１１日の映芸マンスリーは『茨の同盟』（吉田和史監督）を上映します。</em><br /><br /><span style="font-size:x-small;"><span style="font-size:x-small;">ゆふいん文化・記録映画祭　第一回松川賞入賞作</span></span><strong>『茨の同盟』</strong>（2006年／ＤＶ／65分）<br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/B0F1A4CEC6B1CCC1.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/B0F1A4CEC6B1CCC1-thumbnail2.jpg" alt="茨の同盟.jpg" width="300" height="169" border="0" /></a><br />監督・編集・音楽：吉田和史<br />撮影・録音：石河雅史、土田潤也<br />出演：松野行秀（ゴージャス松野）、田代純子 ほか<br />制作：早稲田大学川口芸術学校<br /><br />ゲスト：吉田和史×野村正昭（映画評論家）<br /><br />〈解説〉<br />女優・沢田亜矢子との離婚騒動により、マスコミからのバッシングを受けた松野行秀。その後も歌手デビュー、ホスト転身、整形手術などで話題を振りまいてきた彼が、地元福島でのプロレス興行『ゴージャスナイト』に挑む。どん底から這い上がろうとする男の苦闘と、それを支える女の意地を見つめることで、マスコミ報道のあり方を静かに問いかける（意外と）硬派なドキュメンタリー。<br /><br />会場などの詳細は下記のURLをご覧ください。<br /><a href="http://eigageijutsu.com/article/102456613.html" target="_blank">http://eigageijutsu.com/article/102456613.html</a>

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<title>試写室だより『ひゃくはち』 &lt;br&gt;青春は美しくない。でも…… &lt;br&gt;加瀬修一（ライター）</title>
<description> プロ野球は負けても次の試合があり、次のシーズンがある。だが、高校野球に次はない。その一回性ゆえにマスコミもドラマを盛り上げるし、世間一般でも夏の風物詩として広く認知されている。高校球児の溌剌とした姿に胸躍らされ、自身のもう戻らない時を懐かしむ。誰しも過去には甘く、現在には厳しいものだ。だからこそ、高校野球は青春の象徴となり、甲子園はその聖地となった。 今回が劇場映画の初監督となる森義隆は自らが高校球児だった経験から、この高校野球に対する反応に強い違和感を持っていたようだ。タ...</description>
<dc:subject>レポート</dc:subject>
<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
<dc:date>2008-08-03T06:53:47+09:00</dc:date>
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　プロ野球は負けても次の試合があり、次のシーズンがある。だが、高校野球に次はない。その一回性ゆえにマスコミもドラマを盛り上げるし、世間一般でも夏の風物詩として広く認知されている。高校球児の溌剌とした姿に胸躍らされ、自身のもう戻らない時を懐かしむ。誰しも過去には甘く、現在には厳しいものだ。だからこそ、高校野球は青春の象徴となり、甲子園はその聖地となった。<br />　今回が劇場映画の初監督となる森義隆は自らが高校球児だった経験から、この高校野球に対する反応に強い違和感を持っていたようだ。タイトルの108【ひゃくはち】とは、硬式野球ボールの縫い目の数で人間の煩悩の数と一緒。高校球児は決して清々しいばかりじゃない、脚光を浴びるのはほんの一握りの選手だけで、補欠になんて誰も眼を向けることはない。だが、その無数に存在している補欠にとっても高校野球は青春なんだと、そんな思いをデビュー作に込めたのではないだろうか。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/A4D2A4E3A4AFA4CFA4C1A5E1A5A4A5F3.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/A4D2A4E3A4AFA4CFA4C1A5E1A5A4A5F3-thumbnail2.jpg" alt="ひゃくはちメイン.jpg" width="300" height="201" border="0" /></a><br />(C)2008「ひゃくはち」製作委員会 <br /><br /><a name="more"></a>　雅人（斎藤嘉樹）とノブ（中村蒼）は甲子園出場常連の名門、京浜高校野球部員。2人と同級生の純平（高良健吾）はプロのスカウトからも注目されていて、健太郎（北条隆博）はキャプテンで盤石のレギュラーだ。自分達はどうあがいてもレギュラーになることはできない。ベンチに入れるかどうかもギリギリの補欠。それでも最後の夏の甲子園、何としても2人揃ってベンチ入りを目指す。<br /><br />　4人は仲が良くて、寮をうまく抜け出しては合コンに行って酒を飲んだり、タバコを吸ったりしている。雅人なんて生来の当たって砕けろ精神で、合コンで知り合った女子大生とSEXするところまでこぎつける。<br />　見つかれば出場停止どころではないのに浅はか。でも思えばそこまでの知恵が回らないのもこの年頃だ。今やプロ野球を代表するあの投手だって、喫煙しながらのパチンコ姿を撮られていたことがあった。高校球児だからといって、大人でもなければ聖人君子でもない。ただの17、8の子供だ。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/A4D2A4E3A4AFA4CFA4C1A5B5A5D6A3B1.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/A4D2A4E3A4AFA4CFA4C1A5B5A5D6A3B1-thumbnail2.jpg" alt="ひゃくはちサブ１.jpg" width="300" height="201" border="0" /></a><br />(C)2008「ひゃくはち」製作委員会 <br /><br />　高校野球の大ファンの新米記者サチコ（市川由衣）は、彼らと監督、ベテラン記者、プロのスカウトの裏側を覗き失望する。その姿は、過度に高校野球を美化したがる人々を投影しているかのようだ。サチコは「君にとって高校野球はなに？」と雅人に問う。雅人は「最後の夏まで頑張り通したら、何かふさわしい言葉が見つかるかもしれない」と答える。<br /><br />　タバコが吸いたい、酒が飲みたい、合コンがしたい、女の子が気になってしょうがない。これらは息抜きである以上に「そうしたい」という強い欲求だ。いくら練習してもレギュラーになれない、試合にも出れない、それどころかベンチに入れるかどうかも分らない、なのに何故そこまで頑張るのか。これも理屈じゃない、「そうしたい」という欲求がそうさせるのだ。考えが及ぶ前にただがむしゃらに行動する。その真っ直ぐな姿にサチコの高校野球に対する見方も変わっていく。<br /><br />　終盤に最大の葛藤が用意されている。有望な新入生の加入でベンチ入りが怪しくなった雅人とノブは、ついにその座を巡って争うことになる。昨日の友は今日の敵、この時の2人の反目は凄まじい。「勝ちたい」という欲求を満たす為、お互い仇のように接する。だが、これもまた青春期特有のリアルな心情と言える。<br />　そして迎えたベンチ入りメンバー発表の日。結果は2人に意外な心境をもたらした。努力と運次第、ただ喜べない、綺麗事じゃない。ラストも自分にしかできない最上のことをするという姿勢が潔かった。監督は変化球でギリギリのコースを突きながら、ここ一番では直球で勝負した。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/A4D2A4E3A4AFA4CFA4C1BFB7A5E1A5A4A5F3.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/A4D2A4E3A4AFA4CFA4C1BFB7A5E1A5A4A5F3-thumbnail2.jpg" alt="ひゃくはち新メイン.jpg" width="300" height="215" border="0" /></a><br />(C)2008「ひゃくはち」製作委員会 <br /><br />　ただ、欲を言わせてもらえるならば、雅人のSEXの話だけで純平や健太郎がオナニーしてしまうとか、ノブが会えない彼女を思い出してオナニーしてしまうとか、合コンする小遣いが足りなくてパチスロに行くなんてエピソードや、もっと雅人とノブを否定し続けるキャラクター（妙に冷めているとか、ネチネチしている奴）も見てみたかった。雅人以外の連中の煩悩を描くことで、もっと広がりを持って彼らの青春を肯定できたのではないかと思った。<br /><br />　死ぬほど努力しながらも誰か怪我してくれと本気で祈る。一服しては考える野球と家族、友達と合コン。そんな清く正しくない高校球児の姿を描きながら、観終わった後には清く正しい青春の姿を痛いほど感じた。青臭いのを承知で「人生に補欠はいない」と本気で考えた。<br /><br />　今年も甲子園の幕が開く。それぞれの欲求が熾烈にぶつかり合うだろう。いつもより、ベンチやスタンドが気になる。<br />　青春は美しくない。でも、いいもんだ！<br /><br /><br /><strong>『ひゃくはち』</strong><br />監督・脚本・編集：森義隆<br />原作：早見和真<br />撮影：上野彰吾　照明：赤津淳一　美術：松葉明子<br />録音：宮田泰司　企画・プロデュース：永井拓郎　<br />プロデューサー：木滝和幸<br />出演：斎藤嘉樹、中村蒼、高良健吾、北条隆博、市川由衣<br />配給・宣伝：ファントム・フィルム<br /><br />８月９日（土）より、テアトル新宿、池袋シネマサンシャインほか全国ロードショー<br /><br />公式サイト：<a href="http://www.108movie.jp/index.html" target="_blank">http://www.108movie.jp/index.html</a>　

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<title>映画芸術最新号発売！！</title>
<description>こんにちは、はじめまして、本誌スタッフです。今回リニューアルという名目で、かなり好き勝手に編集をさせていただきました。映画は本当に懐の深い、恐ろしいものだと痛感しています。気持ちばかりが先行し、至らない部分は多々あると思います。それでも心優しい人々や、素晴らしいものを作る物凄い人々に多々出会えました。その素晴らしさを、少しでもより強く、皆さんにお届けできていれば幸いです。どうぞ手にとってご覧になってください。2008.7.30 本誌編集長 大嶋絢子</description>
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<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
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こんにちは、はじめまして、本誌スタッフです。<br />今回リニューアルという名目で、かなり好き勝手に編集をさせていただきました。<br />映画は本当に懐の深い、恐ろしいものだと痛感しています。<br />気持ちばかりが先行し、至らない部分は多々あると思います。<br />それでも心優しい人々や、素晴らしいものを作る物凄い人々に多々出会えました。<br />その素晴らしさを、少しでもより強く、皆さんにお届けできていれば幸いです。<br />どうぞ手にとってご覧になってください。<br /><div style="text-align:right;">2008.7.30　本誌編集長　大嶋絢子</div><br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/B1C7B2E8B7DDBDD1424C9BDBBE6(jpg).jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/B1C7B2E8B7DDBDD1424C9BDBBE6(jpg)-thumbnail2.jpg" alt="映画芸術424表紙(jpg).jpg" width="218" height="300" border="0" /></a><br /><br /><a name="more"></a><strong>特集【ボーダレス・クリティック】</strong><br />●インディペンデント映画誌座談会――「映画時代」（膳場岳人）×「TRASH-UP!!」（屑山屑男）×「DVU」（中山洋孝）×「Spotted701」（直井卓俊）<br />●インターネット映画評ブログ発信者対談――「古谷利裕の“偽日記”」古谷利裕×「映画をめぐる怠惰な日常」モルモット吉田<br />●『HOT FUZZ』公開署名運動レポート――署名運動代表者・わたなべりんたろう<br />●『靖国 YASUKUNI』が与えた本当の問題とは？――元宣伝担当・吉川正文<br />●監督・脚本家が考える「作品を語る言葉に望むこと」<br />瀬々敬久、松井良彦、掘 禎一、松江哲明、青山真治<br />榎戸耕史、掛札昌裕、冨永昌敬、風間志織、濱口竜介<br />深田晃司、池田千尋、古澤 健、桂 千穂、女池 充、沖島 勲<br /><br /><strong>新作【作り手の言葉×評論】</strong><br />●『トウキョウソナタ』<br />黒沢 清インタビュー　聞き手：大寺眞輔<br />評論：万田邦敏／井川耕一郎／野村正昭<br /><br />●『闇の子供たち』<br />阪本順治インタビュー　聞き手：上野昂志<br />評論：小山田裕哉<br /><br />●『憐～REN～』<br />堀 禎一インタビュー　聞き手：切通理作<br />評論：奥寺佐渡子<br /><br />●『片腕マシンガール』<br />井口 昇インタビュー　聞き手：わたなべりんたろう<br />評論：古澤 健<br /><br />●『石内尋常高等小学校　花は散れども』<br />対談：新藤兼人×足立正生<br />評論：小野民樹／柄本かのこ<br /><br /><strong>グラビア：ARATA</strong><br />対談：ARATA×宮脇卓也（『蛇にピアス』脚本）<br /><br /><strong>新作【評論】</strong><br />『TOKYO!』松江哲明<br />『蛇にピアス』新城勇美<br />『愛のむきだし』わたなべりんたろう<br />『次郎長三国志』若木康輔<br />『地球でたったふたり』長谷川 楽<br />『僕らのミライへ逆回転』CHIN-GO！<br />『それぞれのシネマ』三浦哲哉<br /><br /><strong>新企画【映画人、かく語りき】</strong><br />白井佳夫（元「キネマ旬報」編集長）<br /><br /><strong>連載</strong><br />対談　日米★映画合戦（荒井晴彦×寺脇 研）<br />対談　映画なんて観てる場合じゃねぇんだよ！（中原昌也×千浦 僚）<br />寺脇研の課外授業（寺脇 研）<br />宮台真司の超映画考（宮台真司）<br />愛という名の黙契（石井裕也）<br />映画のなかの女たち（市場大介）<br /><br /><strong>書評</strong><br />「脚本家 白坂依志夫の世界」「偏屈老人の銀幕茫々」港岳彦<br />「われとともに老いよ、楽しみはこの先にあり」河村雄太郎<br />「生きているかぎり－私の履歴書」富田克也<br />「映像身体論」土田環<br /><br />投稿／Topics他<br /><br /><em>※「バックナンバー」ページからの購入も可能になりましたので、是非ご利用ください。</em><br /><a href="http://www.k5.dion.ne.jp/~eigei/backnumber/top.html" target="_blank">http://www.k5.dion.ne.jp/~eigei/backnumber/top.html</a>

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<title>試写室だより『アメリカばんざい crazy as usual』 &lt;br&gt;思想に自由あれ、しかしまた観客にも自由あれ &lt;br&gt;若木康輔（ライター）&lt;br /&gt;</title>
<description> 最近は、見終わった後にどんな感想を言ってほしいのか、ちらしやポスターを眺めればもうイヤでも分かる、不自由な印象のものが「ドキュメンタリー映画」として劇場公開されることが増えた。『アメリカばんざい crazy as usual』も、そういう傾向の一本と言っていい。 しかも、実際の仕上がりについても僕は大いに不満なのである。それだけの作品なら、とてもこのレビューを書く気にはなれなかった。 しかし、本作のなかで聞けるイラク帰還兵や家族の話には感じるところが多かった。多くの人に届か...</description>
<dc:subject>レポート</dc:subject>
<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
<dc:date>2008-07-25T06:40:42+09:00</dc:date>
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　最近は、見終わった後にどんな感想を言ってほしいのか、ちらしやポスターを眺めればもうイヤでも分かる、不自由な印象のものが「ドキュメンタリー映画」として劇場公開されることが増えた。『アメリカばんざい　crazy as usual』も、そういう傾向の一本と言っていい。<br />　しかも、実際の仕上がりについても僕は大いに不満なのである。それだけの作品なら、とてもこのレビューを書く気にはなれなかった。<br />　しかし、本作のなかで聞けるイラク帰還兵や家族の話には感じるところが多かった。多くの人に届かなければ勿体ない、と思った。その一点のために、本サイトの更新スケジュールの間に割り込ませてもらうよう、担当の平澤青年に頼んだのだ。<br />　その後すぐに、後悔することになった。もともと仕上がりに大不満な映画だから、紹介したくなったくせにどうすればよいか分からない。「ドキュメンタリー映画」には往々にして、こういう厄介な矛盾が待ち構えている。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/P20A5E1A5A4A5F320A20C6FEC2E2CDE2C4ABA4CEBFB7CABC.JPG" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/P20A5E1A5A4A5F320A20C6FEC2E2CDE2C4ABA4CEBFB7CABC-thumbnail2.JPG" alt="P メイン A 入隊翌朝の新兵.JPG" width="300" height="224" border="0" /></a><br /><br /><a name="more"></a>　本作の話をする前に、僕のもともとの「ドキュメンタリー映画」観について整理してみる。<br />　まず、冒頭に不自由な印象云々と書いたが、どういう意味かもう少し具体的に付け加えると、観客の知的好奇心をあらかじめ一定方向に誘導しているのが分かる、ということだ。まるで観客がどんな認識を持てば正しいか作り手のほうが採点するような、そんな窮屈さを感じる。プロパガンダ、という言葉を使えば、ミもフタもないが話は早い。<br />　昔ながらの「文化映画」やジャーナリストの「取材ビデオ」の上映会なら、それで全く構わない。ちらしやポスターを見て、えらい人が寄せたコメントを読み、社会や政治に対する問題意識がワタシに近い、と感じた人が、その問題をより深く知り、作り手と共有するために足を運ぶ。十分に関係は成立している。「劇映画」の場合だって、基本的には同じだ。面白そうに宣伝するから期待して入場料を払い、実際に面白ければお互い文句なしの取引なんだから。<br /><br />　でも、これが「ドキュメンタリー映画」となると、話は違ってくる。<br />　こういうものだと予想して出かけて、実際にその通りのものが見られた、ナルホドよく分かった。そんな直線的な感想しか出てこないなら、それはあくまで〈確認〉であって、〈感動〉とは違う。「ドキュメンタリー映画」の〈感動〉とは、予期せぬものや考え方を見せられておのれの価値観が揺さぶられる瞬間にだけ訪れるべきものだ。何を見たとしてもどんなことか理解できる、と高をくくった予断が壊され、ほぐれて柔らかくされることが〈発見〉の喜びにつながるのだ。と僕は思っているし、また、現代の「ドキュメンタリー映画」にはそうであってほしいと願っている。<br /><br />　じゃあどうして、事前によい印象を持たなかった『アメリカばんざい　crazy as usual』の試写にわざわざ出かけたかというと、ひとえに僕が貧乏性だから。僕の住所に試写状が届くなんて滅多にないので、行かないとすっごく損した気になる。で、見るからにはぜひこちらの予想を裏切ってほしい、と能動的な気持ちになる。<br />　だから本作が、まさに〈確認のドキュメンタリー〉としか言いようのない、粛々たる調子で進行を始めたときには、途方に暮れそうになった。原稿が書きにくくなるから、ではない。この時点では、レビューを書こうとは一ミリも思わなかった。外に向けて書くかどうかは関係なく、前述したような認識の誘導にむざむざと乗せられそうなことに恐ろしくなったのだ。見終わった時に「軍事大国アメリカの負の側面を見ました」「我々日本人にも決して他人事ではないと感じました」とか、そんな立派な感想しか出てこなかったらと思うと、ぞっとしない。それでは思考停止しているのと変わらないし、映画を見る意味がない。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/P20A5B5A5D620A20A5D6A1BCA5C81AB8E5A4B9A4B0CBB7BCE7.JPG" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/P20A5B5A5D620A20A5D6A1BCA5C81AB8E5A4B9A4B0CBB7BCE7-thumbnail2.JPG" alt="P サブ A ブート後すぐ坊主.JPG" width="300" height="224" border="0" /></a><br /><br />　話を戻そう。本作は、上映時間の大部分がインタビューにあてられている。<br />　イラクや湾岸戦争の帰還兵、その家族。遺族。派遣を拒否した若者。帰還後もＰＴＳＤに苦しんで施設の世話になっている人。社会復帰の道を探り、努力している人。息子や娘が戦地から傷ついて戻って来たことに今も胸が裂ける思いの母親。<br />　宣伝物を見ると、初年兵教育キャンプの取材・撮影に成功したことが一つの売りになっているようだが、その部分のシークエンスは意外と少ない。それよりも、派兵で傷ついた人たちの言葉を一人でも多く紹介しようじゃないか。そんな意図がだんだん分かってくる編集・構成になっている。そうなってからは嬉しくなった。〈確認のドキュメンタリー〉然として始まった本作が、次第に、〈発見のドキュメンタリー〉へとシフトを変えている。<br /><br />　テレビ番組の構成台本を書いていると、インタビューを、弁証法的に話を進めるための素材扱いにせざるを得ない局面が出てくる。「あることについてＡさんはこう言いました。一方で逆の立場のＢさんはこんな主張をしています。つまり問題は……」という具合で、使うのは長くて数十秒、短い時はわずか数秒だったりする。<br />　ところが本作の撮影スタッフは、先ほど挙げた人たちからワンカット数分ずつ、実に粘り強く話を聞いていて、編集で短く刈り込むことはなるたけ避けている。結果、映画の印象がどんどん地味に、しかしここでしか見られないものになっていく。この選択は、凄いことだ。<br /><br />　日本人クルーなのが一種の緩和剤になっているのか。多くの人がとても率直に思うところを話す。マイクを持ってひたすら相槌を打ち、カメラを向け続けることで、愚痴や弱音がぽろぽろと出てくる。一人ずつのインタビューが長いぶん、イラク派兵は社会的な問題である前にこの人たちそれぞれの、のっぴきならない人生の問題なのだと、実感をもって迫ってくる。<br />　これこそ映画ならではの、テレビや活字を超えた力だ。番組では成立が難しいことをやってくれている作り手に、後半は一転して敬意の念が湧いた。このまま最後まで聞き手に徹し切ったら、これは見事な映画になる、と大きな期待を抱いた。<br />　大体、フィクションは別として、アメリカ合衆国の市民がこんなにあけすけに愚痴や弱音をこぼし、迷う姿や涙や溜息を隠さない映画はそうは無い。そういうところを、ぜひ多くの人に見てほしくなった。この時、よし、平澤くんに頼んでレビューを載せてもらうぞ、とワクワクしながら決めた。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/P20A5B5A5D620B20CAC6B7B3CABC1A20400020BFCDC4B6.JPG" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/P20A5B5A5D620B20CAC6B7B3CABC1A20400020BFCDC4B6-thumbnail2.JPG" alt="P サブ B 米軍兵 4000 人超.JPG" width="300" height="224" border="0" /></a><br /><br />　ところが。呆然となるような大うっちゃりが待っていたのだ。エンドクレジットに合わせて流れるのは、アメリカで撮影されたインタビューとは直接の関係がない映像。しかし、作り手のふだんの活動や信条にとってはすごく重要らしい映像だった。<br />　具体は伏せるが、あえて最も下賤な例えを出す。一般向けセミナーと看板を出しておいて実は特定団体の対面勧誘だったみたいなオチなのである。砂を噛む思いでいっぱいになった。<br />　心を尽して撮った、いいインタビューばかりだったじゃないですか。彼らの言葉や表情そのものがすでに雄弁なメッセージだと、作り手はどうして信じ切れなかったのか。作為や主張を捨てて彼らの言葉や表情を伝えることですでに大きなドキュメンタリーの仕事をしていると、どうして貫けなかったのか。ああいうエピローグを添えなければ観客には伝わらない、と万が一でも思ったとしたら、とんでもない話だ。右とか左とか、そんな話がしたいのではない。それより以前の、エチケットの問題なのだ。<br /><br />　だがもしも、ドキュメンタリーは自分たちのメッセージの為の武器だ、と監督やスタッフがあくまで確信しているのなら、進歩主義への傾倒まずありきで映画に関わっているのなら、僕が本作に抱いた、不審→感嘆→期待→落胆のプロセスは全ておかど違いということになる。<br />　その信念があったればこそ我々はよいインタビューが撮れたんですよ、と返されたら、好悪の感情は別として、その点に関してだけは譲歩するだろう自分も、またいるのだ。テーマ／題材の良し悪しだけで映画を評価するのはイヤだが、同時に、作り手のモチベーションやスキルはテーマ／題材によって引き出されることも忘れてはいけないので。でもやっぱり、仕上げる前に一度は思想的に距離のある外部のプロに見てもらい、忌憚のない意見を聞くべきだったと思う。<br /><br />　ここまで落胆したのに、レビューを書こうと決めた瞬間の高揚感が惜しくて、掲載を頼むことになった。今度こそ本当に、どう書けばいいのか何日間ももんどり打って悩んだ。大体、「ドキュメンタリー映画」ってなんだ？　逃げようとして曖昧な言い回しで誉めた文章は、逃げようとしているのがバレバレなので平澤青年に叱られ、正直な気持ちで書き直したら原形を留めなくなった。皮肉抜きで、おかげでいい勉強になった。僕の中に入ってきてけっこう深い掻き傷を残した、それだけでも『アメリカばんざい　crazy as usual』は力作だと認めるべきかもしれない。〈確認のドキュメンタリー〉のまま終始しといてくれたら、しばらくの時間は相当ゲンナリするだろうが、後はさっさと忘れてしまったのは間違いないからだ。<br /><br /><br /><strong>『アメリカばんざい　crazy as usual』</strong><br />監督：藤本幸久<br />撮影：栗原良介　中井信介<br />編集：藤本幸久　栗原良介<br />製作：森の映画社<br />配給：森の映画社　太秦<br /><br />７月２６日よりポレポレ東中野にてロードショー公開、８月より大阪、名古屋で公開予定<br /><br />公式サイト　<a href="http://america-banzai.com/" target="_blank">http://america-banzai.com/</a>

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<title>試写室だより『きみの友だち』&lt;br&gt;センチメンタルの在り処&lt;br&gt;深田晃司（映画監督）</title>
<description> 住宅街のありふれた公園に、白い紐が揺れている。それは大縄飛びの紐で、両端には小学生の女の子ふたり。一人は片足不随で松葉杖、もう一方は病弱そうに見える。つまり、彼女らは半ば強制的に「飛ぶ人」ではなく「回す人」にクラス会議で割り振られ、放課後に練習をしているのだ。成り行きでコンビを組むことになった二人の息はなかなか合わず縄はデタラメに波打つが、次第にそのゆらぎは正しく揃い、きれいな楕円を描きだす。 映画『きみの友だち』で胸を打つのは、そんな些細な瞬間である。子役たちの、理路整然...</description>
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<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
<dc:date>2008-07-20T22:16:57+09:00</dc:date>
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　住宅街のありふれた公園に、白い紐が揺れている。それは大縄飛びの紐で、両端には小学生の女の子ふたり。一人は片足不随で松葉杖、もう一方は病弱そうに見える。つまり、彼女らは半ば強制的に「飛ぶ人」ではなく「回す人」にクラス会議で割り振られ、放課後に練習をしているのだ。成り行きでコンビを組むことになった二人の息はなかなか合わず縄はデタラメに波打つが、次第にそのゆらぎは正しく揃い、きれいな楕円を描きだす。<br />　映画『きみの友だち』で胸を打つのは、そんな些細な瞬間である。子役たちの、理路整然とおよそ子供らしくもない「正確」なリズムで発せられる台詞（だいたい、大人だってそんな論理的に的確に喋れるものではないのに）よりも、スクリーンにゆらぎを刻む縄飛びの運動こそが女の子たちの諍いと融和の歴史を雄弁に物語る。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/main.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/main-thumbnail2.jpg" alt="main.jpg" width="300" height="188" border="0" /></a><br />(C)「きみの友だち」製作委員会<br /><br /><a name="more"></a>　幼いときに交通事故で片足不随となった主人公恵美（石橋杏奈）と、親友由香（北浦愛）の交流を縦軸に、彼女らの家族や同級生たちの様々な友情が横軸に綴られていく群像劇は、その純朴なタイトルを良くも悪くも最後まで裏切ることのない堅実なジャンル映画であった。群像劇の体裁を取っているものの、この青春ドラマの魅力はその構造よりも細部に備わっていると言える。<br />　たとえば、冒頭のフリースクールの場面、恐らく実際にそこに通っているのであろう子供たちのくるくる移ろう表情が印象的である。カメラは、子供たちの無防備なその仕草を楽しげに切り取っていく。それはごく短い描写ではあるが、例えば意味深長な感傷を誘う小道具として紹介される「雲の写真」や大人たちの勿体ぶったやり取りと比べ、生々しい映画的な感触をスクリーンに残している。結局その後、この子供たちよりも「いい表情」がメインとなる子役たちから覗くことがなかったのは残念でならない。<br />　どこかお人形のようによそよそしいヒロインたちと比べ、素朴ながら忘れ難い存在感を示すのが男子たちである。<br />　心身の成長期のなかで親友との間にいつのまにか生じてしまった能力的な格差、その事実に気がつかない振りをしながら友情の継続を願う健気な「三好君」を演じる木村耕二の表情は、中学生の不安定に揺れる自尊心と劣等感をリアルに伝えてきた。その果ての爆発するような「自爆パンチ」は痛々しくもどこか爽快である。<br />　また優秀な後輩に対する複雑な心境をのぞかせる「佐藤先輩」（柄本時生）の、太い眉の下にある眼差しは、寡黙な表情の中にも確かな屈折を滲ませ強い印象を残している。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/sub3.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/sub3-thumbnail2.jpg" alt="sub3.jpg" width="300" height="201" border="0" /></a><br />(C)「きみの友だち」製作委員会<br /><br />　いつもどこか不機嫌そうなヒロイン恵美は、ふいに雲や友人をカメラに収めようとする。そういえば、『やわらかい生活』(05)の寺島しのぶも写真を集めていたし、大切な「不在者」の声を時空を越えてふっと耳にしてしまうのもまた恵美と共通している（思い出すと、『君といつまでも』(95)の田口トモロヲも銃口をかざすようにカメラを街に向けシャッターを切っていた）。『やわらかい生活』と『きみの友だち』にある幾つもの符合、しかしその両者には決定的な差異がある。その差異を、死に向かって刻々と変化する肉体の物質性を奇跡的に体現してしまう女優寺島しのぶの不在に求めるのはアンフェアだろうか。『きみの友だち』に感じるこの漠然とした違和感は、例えばその音楽の使い方において裏付けられる。<br />　音楽が映像の同意反復としてしか機能しないとき、往々にして映画は厚みを失いのっぺりと単調なものとなる。映画『ヴァイブレータ』(03)においてあれほど魅惑的にスクリーンを充たしていた音楽は、この作品においては多様な解釈の素地となる「余白」を奪いとっていくだけであったように思える。音楽はときに感傷を「捏造」する。『きみの友だち』において、エピソードのクライマックスのたびに繰り返し顔を出す主題歌が過剰なセンチメンタルを強要してくるのは、なんだかもったいないような気分にさせられた。せっかく多彩なキャラクターを描き分けながら、音楽に象徴される情感の単調さが、残念ながらこの映画全体のカラーを決定してしまっているのである。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/sub1.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/sub1-thumbnail2.jpg" alt="sub1.jpg" width="300" height="201" border="0" /></a><br />(C)「きみの友だち」製作委員会<br /><br />　一方で、印象的な場面がある。大学受験当日の朝、東京へと立とうする恵美（舞台は山梨である）が、心配そうに見送る両親を背中に玄関を出ると、家の前には誰もいない。ここでは恵美の子供時代におけるあるエピソードが伏線として効いているのであるが、今はもう会えなくなってしまった親友の視線の記憶と重なるかのように不在の軒先越しに恵美を捉えたショットは、はっとするような美しさである。この場面を前にして僕は初めて身を乗り出した。見たいと思っていたのはこういう場面であり、少なくともその瞬間、僕は居心地の悪さから抜け出すことができたのだ。<br />　そして、ラストシーンである。物語を締めくくるために準備された最後の「決めゼリフ」をどう聞かせるか、ここで廣木監督の取った選択を許容できるかできないかで、この映画の評価は大きく変わってくるのではないだろうか。残念ながら、僕はそこに前述の音楽に似た演出の過剰さ、過剰さというよりは描く対象に対する距離感の欠如を感じてしまった。しかし一方で、これが廣木監督のやりたかったことなのかも知れない、そう思うとこのストレートな青春物語に対する演出家の態度は全編に渡ってブレていなかったことに思い至るのである。<br />　原作に「とにかく感動した」と語る監督は、原作の持ち味をスクリーンに移植するために最大限の仕事をした。そして、その思い入れの真っ当さこそがこの映画に対し感じ続けた違和感の正体だったのだろう。つまり、そこに原作を解釈し再構築するだけの批評的な視線が感じられないのだ。結果として、原作に対する甘さがラストカットに見られる対象への距離感の欠如につながっているのではないだろうか。<br />　原作『きみの友だち』を好きな人は、安心してこの映画に入っていけるだろう。しかし僕は、もう少し原作に対し冷ややかに臨む『きみの友だち』が見たかった気がしてならないのである。<br /><br /><br /><strong>『きみの友だち』</strong><br />監督：廣木隆一<br />原作：重松清<br />脚本：斉藤ひろし　撮影：芦澤明子　照明：豊見山明長<br />美術：山下修侍　録音：深田晃　編集：大永昌弘<br />出演：石橋杏奈、北浦愛、吉高由里子、福士誠治、森田直幸 <br />配給： ビターズ・エンド<br /><br />7月26日より、新宿武蔵野館、渋谷シネ・アミューズほか全国順次ロードショー <br /><br />公式サイト：<a href="http://www.cinemacafe.net/official/kimi-tomo/" target="_blank">http://www.cinemacafe.net/official/kimi-tomo/</a>

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<dc:date>2008-07-20T22:16:57+09:00</dc:date>
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<title>「月曜COREDOシアター 映芸マンスリー」&lt;br&gt;8月~10月の上映作品決定！</title>
<description> これだけたくさんの映画が次々と公開される状況のなかにあって、情報量の少ないインディペンデント系の作品は、たとえそれが優れたものであってもうっかり見過ごされてしまいます。そんな状況にささやかながらも抵抗を試みようと始まったのが「映画芸術」が主催する上映会「映芸マンスリー」です。観客を巻き込んで激論しようなんてことを考えているわけではありません。運営はどちらかと言えばユルユルです。普段はメジャーの作品ばかり観ている方も、これまで映画芸術を読んだことのない方も、くつろいでいただけ...</description>
<dc:subject>イベント</dc:subject>
<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
<dc:date>2008-07-16T21:30:15+09:00</dc:date>
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　これだけたくさんの映画が次々と公開される状況のなかにあって、情報量の少ないインディペンデント系の作品は、たとえそれが優れたものであってもうっかり見過ごされてしまいます。そんな状況にささやかながらも抵抗を試みようと始まったのが「映画芸術」が主催する上映会「映芸マンスリー」です。観客を巻き込んで激論しようなんてことを考えているわけではありません。運営はどちらかと言えばユルユルです。普段はメジャーの作品ばかり観ている方も、これまで映画芸術を読んだことのない方も、くつろいでいただける場所、イベントだと思います（ただ、上映後のゲストによるトークショーは意外とマジメです）。この上映会をきっかけに、少しでも映画というものを身近に感じていただければと思っています。<br />　前置きが長くなってしまいましたが、「映芸マンスリー」8月以降の上映作品が決まりましたので、ここにお知らせいたします。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/DPP_005.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/DPP_005-thumbnail2.jpg" alt="DPP_005.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br />映芸マンスリーVOL14／若松孝二監督によるトークの様子<br />（写真：矢吹健巳）<br /><br /><a name="more"></a><strong>８月１１日（月）</strong><br /><span style="font-size:x-small;"><span style="font-size:x-small;">ゆふいん文化・記録映画祭　第一回松川賞入賞作</span></span><strong>『茨の同盟』</strong>（2006年／ＤＶ／65分）<br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/B0F1A4CEC6B1CCC1.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/B0F1A4CEC6B1CCC1-thumbnail2.jpg" alt="茨の同盟.jpg" width="300" height="169" border="0" /></a><br />監督・編集・音楽：吉田和史<br />撮影・録音：石河雅史、土田潤也<br />出演：松野行秀（ゴージャス松野）、田代純子 ほか<br />制作：早稲田大学川口芸術学校<br /><br /><strong>ゲスト：吉田和史×野村正昭（映画評論家）</strong><br /><br />〈解説〉<br />女優・沢田亜矢子との離婚騒動により、マスコミからのバッシングを受けた松野行秀。その後も歌手デビュー、ホスト転身、整形手術などで話題を振りまいてきた彼が、地元福島でのプロレス興行『ゴージャスナイト』に挑む。どん底から這い上がろうとする男の苦闘と、それを支える女の意地を見つめることで、マスコミ報道のあり方を静かに問いかける（意外と）硬派なドキュメンタリー。<br /><br />「ゆふいん文化・記録映画祭」公式サイト：<a href="http://movie.geocities.jp/nocyufuin/home.html" target="_blank">http://movie.geocities.jp/nocyufuin/home.html</a><br /><br /><br /><strong>９月８日（月）<br />「背徳映画祭」傑作選</strong><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/B5FEC5D4BCDAA4EAA4DEA4B9_01.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/B5FEC5D4BCDAA4EAA4DEA4B9_01-thumbnail2.jpg" alt="京都借ります_01.jpg" width="300" height="224" border="0" /></a><br />『遊泳禁止区域』（2007年／ＤＶ／20分）監督：前田弘二<br />『金鮎の女』（2007年／ＤＶ／24分）監督：いまおかしんじ<br />『ザ・ミルキィ・オーディション』（２００７年／ＤＶ／７分）監督：吉行由実<br />『ドレメの女』（2005年／ＤＶ／26分）監督：しまだゆきやす<br />『京都 借ります』（2007年／ＤＶ／32分）監督：しまだゆきやす<br />※写真は『京都 借ります』<br /><br /><strong>ゲスト：しまだゆきやす</strong><br /><br />〈解説〉<br />自身も数々の映画作品を発表する一方で、『恋する幼虫』（井口昇監督）や『ヒミコさん』（藤原章監督）などのプロデューサーを務め、「背徳映画祭」および「ガンダーラ映画祭」までオーガナイズするインディペンデント映画界の仕掛人・しまだゆきやす（イメージリングス代表）を迎えて送る「背徳映画祭」傑作選。新鋭・前田弘二の傑作短篇『遊泳禁止区域』、いまおかしんじのデタラメぶりが爽快な『金鮎の女』、女流監督・吉行由実が捨身で放つ妄想暴走映画『ザ・ミルキィ・オーディション』、そして、しまだゆきやすの耽美的なフェイクドキュメンタリー『京都 借ります』『ドレメの女』という過激かつ過剰なラインナップ。<br /><br />「背徳映画祭」公式サイト：<a href="http://www.imagerings.jp/haitoku_home.html" target="_blank">http://www.imagerings.jp/haitoku_home.html</a><br />イメージリングス公式サイト：<a href="http://www.imagerings.jp/" target="_blank">http://www.imagerings.jp/</a><br /><br /><br /><strong>１０月１４日（火）<br />『最初の七日間』</strong>（2008年／ＤＶ／約85分）<br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/BAC7BDE9A4CEBCB7C6FCB4D6.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/BAC7BDE9A4CEBCB7C6FCB4D6-thumbnail2.jpg" alt="最初の七日間.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br />監督：斎藤久志<br />脚本：成冨佳代、斎藤久志　撮影：浜口文幸　録音：高田伸也　助監督：伊藤裕満<br />出演：平野啓子、松本圭史、藤田健吾、村上剛基、奥田恵梨華　ほか<br />製作：デジタルハリウッド　制作：ＥＮＢＵゼミナール<br /><br /><strong>ゲスト：斎藤 久志</strong><br /><br />〈解説〉<br />長崎・佐世保の銃乱射事件をモチーフとして、鬱屈した青春群像を超客観的な視点から描き出す戦慄作。出演者のほとんどがＥＮＢＵゼミナールの生徒であるということが、映画にとって何のハンデにもなっていないことに驚嘆せずにはいられない。前作『ホワイトルーム』（「愛妻日記」シリーズ）で話題を呼んだ斎藤久志が本作でまた新たな境地を切り拓く。<br /><br />ENBUゼミナール「ドロップ・シネマ・パーティー2008」公式サイト：<a href="http://www.enbu.co.jp/zemi/drop_07_aut.html" target="_blank">http://www.enbu.co.jp/zemi/drop_07_aut.html</a><br /><br /><br /><strong>開場：１８時３０分　開演：１９時</strong>　<br />上映終了後に４５分程度のゲストトークあり<br />終了時刻は作品の長さによって異なります<br /><br /><strong>会場：シアター＆カンパニー「COREDO」</strong><br />千代田線乃木坂駅２番出口すぐ右隣のビル地下１階<br />港区赤坂９-６-４１　乃木坂ビルB１<br />電話：０３-３４７０-２２５２<br />公式サイト：<a href="http://www.tc-coredo.join-us.jp/" target="_blank">http://www.tc-coredo.join-us.jp/</a><br /><br /><strong>入場料金：当日１５００円　予約１３００円（ともに１ドリンク付き）</strong><br /><br />＊ 作品は全てDVD上映となりますので予めご了承ください。<br /><br />＊ 予約は電話、メールにて承ります。下記まで、お名前、連絡先（電話番号／メールアドレス）、希望日（作品）、枚数をお知らせください。予約にて定員（４５名）となった場合、当日券はございません。小さな会場ですので、事前の予約をお勧めいたします。<br /><br />主催：映画芸術＋シアター＆カンパニーCOREDO<br />企画制作：映画芸術<br />予約・問い合わせ：映画芸術 編集部<br />電話：０３-６９０９-２１６０　ファックス：０３-６９０９-２１６１<br />メール：eigei@mm.neweb.ne.jp

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<title>試写室だより 『片腕マシンガール』＆＜Ｎｅｏ Ａｃｔｉｏｎシリーズ＞&lt;br&gt;もうすぐ夏休み！ガールズ・アクション レビューまつり‘０８&lt;br&gt;若木康輔 （ライター）</title>
<description> 雑誌「映画芸術」には、日本映画のエログロやバイオレンスの存在意義を積極的に擁護してきた歴史がある。僕よりよくご存じの方も多いだろう。オルタネイティヴな表現や作家を色メガネ抜きで評価する姿勢は今も自然と受け継がれているから、大量の血しぶきが出る、首や腕が飛ぶなどの残酷描写が出てくるといった理由だけで『片腕マシンガール』を黙殺したり、あるいは無暗にはしゃいで持ち上げたりすることはない。僕自身、そういう伝統に敬意を持っている。 そのうえで言う。『片腕マシンガール』を試写で見て、僕...</description>
<dc:subject>レポート</dc:subject>
<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
<dc:date>2008-07-12T23:47:42+09:00</dc:date>
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　雑誌「映画芸術」には、日本映画のエログロやバイオレンスの存在意義を積極的に擁護してきた歴史がある。僕よりよくご存じの方も多いだろう。オルタネイティヴな表現や作家を色メガネ抜きで評価する姿勢は今も自然と受け継がれているから、大量の血しぶきが出る、首や腕が飛ぶなどの残酷描写が出てくるといった理由だけで<strong>『片腕マシンガール』</strong>を黙殺したり、あるいは無暗にはしゃいで持ち上げたりすることはない。僕自身、そういう伝統に敬意を持っている。<br />　そのうえで言う。『片腕マシンガール』を試写で見て、僕は残酷描写が大いに気になった。青少年の教育によくないのでは、とすら思った。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_main.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_main-thumbnail2.jpg" alt="kmg_main.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br />『片腕マシンガール』(C)2008 FEVER DREAMS,LLC<br /><br /><a name="more"></a>　正式なアナウンスは編集部から近々出ると思うが、本サイト「映画芸術ＤＩＡＲＹ」はこれからちょっとだけ変わる予定である。どうやら本誌をネット上に紹介する媒体でありつつ、独自の個性をより鮮明にしたいみたい。タトゥーについての考察が映画で描かれているより面白いもんだから、そういう慇懃な形でクローネンバーグの内実はもう弱いと斬ってるんかいな、だったらエグい、と僕には読めた金子遊の『イースタン・プロミス』評あたりから、徐々に変化の予兆はある。いろいろ仕掛けて「映画芸術」を援護射撃する映芸ＤＩＡＲＹ、今後の展開をひとつよろしく！<br /><br />　ＰＲを済ませたところで本題に入ります。<br />　アメリカのメーカーが１００％出資した逆輸入ハードコア・アクションなのが話題必至の『片腕マシンガール』は、基本的には大した映画である。<br />　もろに書き割り然としているから余計にフランケンな空気の漂う日常風景から、また実にヘンなタイミングでアクションが始まり、一度始まったらテンションが途切れない。井口昇はもはや知る人ぞ知る辺境の人ではない。堂々と異能監督の系譜に名を連ねる人だ。『おいら女蛮』での男前振りが新鮮だった亜紗美は、本作ではますます男前。穂花のアップになると、あんまりムンムンと色っぽいのでつい照れてモジモジしてしまった。<br />　画面を真っ赤に染める徹底した殺し合い。出し惜しみせず過剰に見せるからギャグにまで突き抜ける残酷描写。こういうものが必要とされるのはよく分かる。本当に人を刺したくなる代わりに、溜め込んだ鬱屈をスクリーンにぶつけ、共振する。そんな時期は（多分）誰にだってあるし、もともと映画にはそういう役割があるんだよと、疎外感に悩む若い人にもっと知らせたいほどだ。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_sub01.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_sub01-thumbnail2.jpg" alt="kmg_sub01.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br />『片腕マシンガール』(C)2008 FEVER DREAMS,LLC<br /><br />　僕の場合は、『仁義の墓場』や『０課の女・赤い手錠』『実録・私設銀座警察』みたいな東映の極端な旧作か、しまだゆきやすという人が主催する〈イメージリングス〉で上映される自主映画以外まるで見る気がしなかった時期がそれにあたる。表通りのロードショーの看板がみんな眩しくて目を背けていた頃だ。<br />　〈イメージリングス〉が会場にしていた貸スペース・新宿Ｆｕ－のパイプ椅子に座って『クルシメさん』を見たときのヒリヒリとした怖さと驚きの記憶が、本作への不満をもたらすのかもしれない。平野勝之のＡＶのなかでスタッフのウンコやオシッコを溜めたバケツを頭から被る井口昇を見たときの感嘆が、本作の血しぶきを薄く見せてしまうのかもしれない。<br />　でも、これまでのキャリアはやっぱり関係ないな。端的に言うと、『片腕マシンガール』は復讐劇としての力が弱い。快活でチャーミングな姉が弟を殺されて復讐鬼になる、そこにバネがない。ドス黒い情念が少女を女にしないから、あのマシンガンがいつまでもギミックのままで意味が出ない。必要以上の残酷描写は、作り手にそれだけの殺意と怨念を塗り込める情動がない限りやってはいけないだろう、と僕は思う。<br /><br />　ひとを憎むならごまかさず、八つ当たりをせず、とことん歯噛みして人生を捨てる覚悟で憎め。その重さに耐えられなければ憎むのはあきらめろ。それぐらいの信念で描いてもらって初めて過剰な殺戮描写は見る者の血肉になる。心にナイフを持った青少年の支えとなり、歯止めとなる。優れたバイオレンス映画は、同時に優れた教訓劇であるべきなのだ。<br />　ところが本作は、そこんところの深度が浅いまま血まみれアクションがテンポ良く展開して、しかも面白い。だから、教育上いかがなものか、と思うわけである。これがスプラッター・コメディだったら、また違う約束事の世界なんだからきっと文句は無かった。ストーリーを転がす便利な“手”に復讐を使っていることが気になるのだ。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_sub02.JPG" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_sub02-thumbnail2.JPG" alt="kmg_sub02.JPG" width="300" height="200" border="0" /></a><br />『片腕マシンガール』(C)2008 FEVER DREAMS,LLC<br /><br />　仇をわざわざハリウッド式にカリカチュアしたやくざにしているのが、僕には分からない。どんなに憎々しく造形しようと、マンガを相手にした復讐劇では軽いでしょう。例えば、裕福層の子息と中産階級の子分たちのイジメで弟を殺された、あるいは自分もとことん虐げられたヒロインという風でないと、見ていて熱くならない。マンガやくざはボディガードみたいな役目でどんどん出てきていいのだが、良識的な社会に属し、集団を頼みに陰で残酷になる奴らこそが本当に憎い。面倒が起きるとあっさりスクエアなサークルに戻る無自覚の卑劣さがさらに憎い、とならなければ、日本製バイオレンスの情念は華として咲かないのではないか。怒りは潔癖な純情と表裏一体なのだと、よく知っているはずの人ではないか。<br />　井口さんは、先方のリクエストに応じてサービス精神を存分に発揮した分、やや計算違いをしてしまったんじゃないかな？　と僕には思われる。一番殺したい奴は許して和解する振りをして、その後たっぷりと死ぬよりも恐ろしい目に合わせる……そういう、グリグリと神経を抉るようなものこそ見たかった気持ちもある。<br /><br />　同じ夏休みシーズンに、＜Ｎｅｏ　Ａｃｔｉｏｎシリーズ＞と銘打った中編二本立てが公開される。<br />　そのうちの一本<strong>『ハード・リベンジ、ミリー』</strong>も、ティーンアイドル紗綾のどてっ腹に風穴が開いちゃうなどバイオレンスに凝っていることでは『片腕マシンガール』に負けず劣らずなのだが、それが良いとも悪いとも、全く感想が出てこなかった。きっとアクションの編集は相当に上手いんだろうし、元気とやる気は十分に感じられるんだけど。意匠から何から、まるっきり向こうの借り物のせいだろう。自分の意見を持たない人の受け売り話には相槌すら打ちにくいものだが、あれに近い。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/MILLY-main.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/MILLY-main-thumbnail2.jpg" alt="MILLY-main.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br />『ハード・リベンジ、ミリー』<br /><br />　しかし水野美紀があくまでアクションにこだわり、激しく殴り合う姿にはジンとなった。「踊る大捜査線」の可憐な雪乃さんがなぜインタビューのたびにアクションをやりたいと言うのか、十年前は今一つピンとこなかった人は僕も含めて多いはずだ。彼女の地道なアピールがあって、女性アクションが当たり前になり、『片腕マシンガール』に抜擢された八代みなせが注目される今がある。闘うヒロインも若ければ若いほど喜ばれるようになっても、一緒に組んだ監督が幼くても、野茂やカズのように水野美紀はやり続けている。それだけで充分、僕はこの中編にほだされた。<br /><br />　もう一本の<strong>『ＴＨＥ ＭＡＳＫＥＤ ＧＩＲＬ　女子高生は改造人間』</strong>は、実は個人的には好み。ヒロインの女子高生がどうも親のしつけが良い設定らしくて、悪の組織の秘密アジトから脱出するとき「あの～すみません、誰もいませんかあ」とついつい声をかけるところなど、けっこうツボにはまって何度かクスクス笑った。ほんわかしたゆるさを狙って、狙い通りにほんわかとおかしいセンスはちょっと大したものだ。金子功という監督の名前、覚えておこうと僕は思った。面白いことに、名字が同じ金子修介の映画と雰囲気がよく似ている。ああ、思えば金子修介こそ、＜アイドル＋アクション＞の方法論を80年代から模索していたパイオニアだった。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/MASKED-main.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/MASKED-main-thumbnail2.jpg" alt="MASKED-main.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br />『ＴＨＥ ＭＡＳＫＥＤ ＧＩＲＬ～』<br /><br />　しかし、変身ヒーローもののパロディはあくまで変化球の面白さ。例えばピンク映画やテレビの単発ドラマ枠などのようにベルトのラインがはっきりした中でひょいと登場、という形にならないと折角の遊び心が光りにくいし、見ているお客さんにとっても少し居心地が悪いものだ。金子功はコメディが向いていると僕は思うが、本作をビデオセルでもネット動画でも、どんな形でもシリーズとして続けるプランがあるとしたら、それはそれで応援したい。というか、要は＜Ｎｅｏ　Ａｃｔｉｏｎシリーズ＞そのものが、新人監督のショーケースを兼ねたひとつのラインになればいいんでしょうね！<br /><br />　中編二本の紹介がソフトになったのは、まだユースのレベルだから。一方の井口昇はもう次代の日本代表候補だ。目先だけで持ち上げて良しとせず、注文すべきところはすべきなのだ。<br />　アメリカでも『片腕マシンガール』を見て、クール！　エクセレント、イグチ！　と喜ぶ若い子はそりゃあ多いだろう。でも、末梢神経を刺激されたらそれで満足な連中の人気は、国内外問わず当てにならない。<br />　彼の国にだって、オタク仲間の輪にも馴染めず、ナイフやライフルを買う代わりに一人で映画を見る、暴発寸前の気持ちを抱えた子は男女問わずいるだろう。そんな子たちに、なあんだ、今どきのニッポン人の復讐の怨念はこんな程度か。ルサンチマンをスポーツ感覚で元気に処理しちゃうのか。タランティーノ一派と変わんないじゃん……と落胆されたら、そっちのほうが国辱ものの事態だ。いやいやキミたち、イグチが自分の資質と題材との照準をピタリと合わせたらもっと凄いんだぜ。青春ダークコミックのクラシック『魔太郎がくる！！』をイグチがディープ＆センシティヴに映画化する日がいつかきっと来るから、それまで待ってほしい！　誰か英訳してくれ。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_sub03.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/kmg_sub03-thumbnail2.jpg" alt="kmg_sub03.jpg" width="300" height="200" border="0" /></a><br />『片腕マシンガール』(C)2008 FEVER DREAMS,LLC<br /><br />　映画にリメイクやオマージュがあるなら、批評にも似た事があっていいのではないか、とうっすら考えていた。なので言う。この文章は新作レビューであると同時に、佐藤忠男が石井輝男のエログロ路線を批判した68年の評論「日本映画の最低線への警告」への、僕からのトリビュートである。（抄文を『石井輝男映画魂』（ワイズ出版）で読むことができます）<br />　もしこの文章が記録として残り、未来世界の映画ファンたちに「あの『片腕マシンガール』が公開された時、日本のシャレの分からないバカがさ、残酷描写が良くないとか大真面目に批判してんだよね。ワカキとかそういう名前のやつ」なんて笑い者にされたら、それはそれで時の審判に負けたということだ、と僕は腹を括っている。<br /><br /><br /><strong>『片腕マシンガール』</strong><br />監督・脚本：井口昇<br />主演：八代みなせ　亜紗美　穂花　島津健太郎<br />製作：ＦＥＶＥＲ　ＤＲＥＡＭＳ<br />配給：ＳＰＯＴＴＥＤ　ＰＲＯＤＵＣＴＩＯＮＳ<br />８月２日より池袋シネマ・ロサ、シアターＮ渋谷にてロードショー公開、ほか全国順次公開<br />公式サイト　<a href="http://www.spopro.net/machinegirl/" target="_blank">http://www.spopro.net/machinegirl/</a><br /><br /><em>★7月末発売予定の次号「映画芸術」に井口昇監督のインタビュー掲載予定！</em><br /><br />＜Ｎｅｏ　Ａｃｔｉｏｎシリーズ＞(二本連続公開)<br /><strong>『ハード・リベンジ、ミリー』</strong><br />監督・脚本：辻本貴則<br />主演：水野美紀　虎牙光輝　大口広司　紗綾<br /><strong>『ＴＨＥ ＭＡＳＫＥＤ ＧＩＲＬ　女子高生は改造人間』</strong><br />監督・脚本：金子功<br />主演：清水由紀　中村静香　きだつよし　佐藤藍子<br />製作：「Ｎｅｏ　Ａｃｔｉｏｎ」シリーズ製作委員会(ウェッジホールディングス　日本出版販売　ワコー)<br />配給：日本出版販売<br />８月９日より渋谷Ｑ－ＡＸシネマにてレイトショー公開<br />公式サイト　<a href="http://www.neo-action.com/" target="_blank">http://www.neo-action.com/</a>

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<title>『バックドロップ クルディスタン』&lt;br&gt;野本大（監督）・大澤一生（制作・編集）インタビュー</title>
<description> 山形ドキュメンタリー映画祭のアジア千波万波部門で市民賞と奨励賞をＷ受賞し、毎日映画コンクールではドキュメンタリー映画賞を受賞するなど、公開前から話題となっていた『バックドロップ クルディスタン』がいよいよ今日からポレポレ東中野にて公開されています。 クルド人難民のカザンキラン一家に加わるニッポンの圧力。そして発覚する父親の重大な嘘。果たして悪いのは国家なのか家族なのか、それとも傍観者を決め込む自分自身なのか。『バックドロップ クルディスタン』は、監督である野本大さんがその答...</description>
<dc:subject>インタビュー</dc:subject>
<dc:creator>映芸編集部</dc:creator>
<dc:date>2008-07-04T00:18:38+09:00</dc:date>
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　山形ドキュメンタリー映画祭のアジア千波万波部門で市民賞と奨励賞をＷ受賞し、毎日映画コンクールではドキュメンタリー映画賞を受賞するなど、公開前から話題となっていた『バックドロップ クルディスタン』がいよいよ今日からポレポレ東中野にて公開されています。<br />　クルド人難民のカザンキラン一家に加わるニッポンの圧力。そして発覚する父親の重大な嘘。果たして悪いのは国家なのか家族なのか、それとも傍観者を決め込む自分自身なのか。『バックドロップ クルディスタン』は、監督である野本大さんがその答えを求めてトルコへと旅立つドキュメンタリー・ロードムービーです。そして、この作品はまた、監督が制作のために日本映画学校を退学し、およそ３年の歳月を費やして完成させたという執念の映画でもあります。<br />　今回のインタビューでは、監督の野本さんと編集・制作を担当した大澤一生さんを迎えて、映画が完成するまでの長い道のりと、映画の裏側に隠された作り手の思いについてお話を伺いました。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/nomo-oosa1.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/nomo-oosa1-thumbnail2.jpg" alt="nomo-oosa1.jpg" width="300" height="224" border="0" /></a><br />左から大澤一生（制作・編集）、野本大（監督）<br /><br /><a name="more"></a><strong>本当にすごいキャラクターの持主ですから<br />おれが絶対撮るっていう気持ちでした</strong><br /><br />――この映画はそもそも日本映画学校の卒業制作として撮ろうとした企画だったそうですが、その時はどんな内容だったんですか。<br /><br />野本　2ヶ月ぐらい取材したんですけど、クルド人や難民のことを知らない状態でカザンキラン一家と付き合っていたので、非常に浅はかで掴みどころのない企画になっていたんですね。それを、ゼミの担任だった原（一男）さんに見抜かれたというか。この題材は撮りきれないだろうと言われました。<br /><br />大澤　その時に彼が出した企画というのは、カザンキラン一家というクルド人と会ったと、で、その家族を撮りたいというだけのものだったんです。映画にある国連事務所前での座りこみデモについても、まだやることがわかっていなかった。強烈なキャラクターのクルド人一家がいるということはわかっているんだけど、彼らをどう撮るのか野本も悩んでいたんだと思います。<br /><br />野本　それまでは想像の範囲でしかなかった人たちなので、彼らがどういう思考をするのか、どういう行動をするのかわからない。先の展開が予想できなかったんです。だから、その時点では彼らが苦しい生活をしているというだけで、動きのある展開はイメージできない状態でした。ただ、彼らが関わっていた難民認定と不法滞在の裁判がどちらも高裁までいっていたので、このまま日本に滞在し続けることはムリだろうという見通しはありました。<br /><br />――そういう見通しがおぼろげにあっても、それをどう着地させるのかというイメージが掴めない状態だったと。<br /><br />野本　そうですね。<br /><br />――この企画がボツになった後、野本さんは学校を辞められたらしいですね。<br /><br />野本　学校という組織で撮れなくなったというだけで、僕の一家に対する思いが消えるわけじゃないですから、気持ちとしては逆でしたよね。絶対おもしろくなるはずなのにと。それで家族に企画がボツになったことを伝えに行った時、座り込みデモをするという話を聞いたんです。ちょうどその時に、デモのために家族が食料を入れるタッパーを買いに行ったりするんですよ。もし企画が通っていたら絶対に撮ってるところだなぁと思って、そういうシーンをみすみす逃してるのが辛かったですね。<br /><br />――彼らに対する思い入れと、もったいないという気持ちの両方あったということですか。<br /><br />野本　本当にすごいキャラクターの持主ですから。おれのものだ、おれが絶対撮るっていう気持ちでした（笑）。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk01.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk01-thumbnail2.jpg" alt="bdk01.jpg" width="300" height="224" border="0" /></a><br /><br />――ちなみにカザンキラン一家と出会ったきっかけは何だったんですか。<br /><br />クルド人が集まるネグロズという新年祭で知り合いました。当時いろいろと取材を進めるうちに、「日本にも難民がいます」というチラシを見つけて、その場所に行きついたんです。本当に何にも知らなかったので、日本に難民がいるんだ、クルド人がいるんだという驚きがあって。その場所で長女のゼリハが開会の挨拶みたいなことをしていて、単純にこれはいいな、かわいいなと思ったんです。何を言ってるのかはわからなかったんですけど……（笑）。その頃は取材の対象として同世代ということをすごく意識してたんですよ。自分と年齢が近ければ、話も聞きやすいし、共有できる部分が大きい。そういう事情もあって、あ、この子だ！と思って、カザンキラン一家を紹介してもらいました。家族が7人もいて、強烈なキャラクターのお父さんがいたので、もうこれしかないと思いましたね（笑）。<br /><br />――その時に感じたカザンキラン一家の魅力というのは具体的にどんなところですか。<br /><br />野本　とにかく自分を表現するのがうまいんですね。彼らにしてみれば、難民として認められないという状況があるから、自分から表現しなくてはいけない面もあるでしょうけど、自分がどういう人間かということを何の恥じらいもなく言えるんです。何か一つを質問すると、大演説会が始まってしまうというくらいに、自分のことを伝えるのがうまいし、伝えたい願望が強い。それは自分にはない部分だし、できないことだったので、そういうところに魅力を感じたのかもしれません。<br /><br />――たしかにカザンキラン一家の人たちは感情表現がストレートで、日本人にはない人間臭さを感じました。<br /><br />野本　それが過剰なんじゃないかなと思うこともあるんですけど……（笑）。でも本当に自分の見せ方がうまいですよ。僕のことだって、最初はどういう映画を撮っている人間かわからないじゃないですか。ただ、向こうもどこかで僕を利用できないかと考えてるわけですよ。お父さんは大演説会を始めると、必ずどこかで涙を流すんですけど、おそらくその涙には自分がこういう風に見られたいという意識が作用してると思うんですね。<br /><br />――当初からある種の共犯関係は築けてしまったわけですね。<br /><br />野本　撮影中すごく勇気になった言葉があるんですけど、ある時にお父さんが「野本さんと私たちの目的は違うから」とはっきり言ってくれたんです。その前提で関係を築くことができたので、気持ちが楽になりました。<br /><br />――そうやって野本さんがカザンキラン一家にのめり込んでいく過程で、大澤さんはどういう形で合流していったんでしょうか。<br /><br />大澤　僕が関わったのは、彼が日本篇を撮り終わった後なんですね。一家がニュージーランドに出国した時点で、野本は一回作品をまとめたんですよ。僕が映画学校を卒業してから一年以上経ってたと思いますけど、その作品を見せてもらったんです。彼が一家のドキュメンタリーを撮り続けていたことは知っていたので、そのことに対する驚きはなかったんですが、長女のゼリハが記者会見の時に「日本人はかわいそう」「こんな国で幸せになれるの？」と言ったりする、ああいう言葉には衝撃を受けました。ただ、その時点の作品は野本自身が編集していたこともあって、野本という存在がうまく消化できていなかった。だから、尻切れトンボで終わっている印象があったんですね。<br /><br />――取材者が結果として何を感じたのか、その辺りが見えなかったということですか。<br /><br />大澤　そうですね。ただ、面白いなと思ったところが二つあって、一つは野本自身が今の日本の若者のメタファーになっていること。世界のことを何も知らない日本の若者がカザンキラン一家と関わっていくうちに自分の置かれている状況を思い知らされていく、そういう構成にできるんじゃないかと思ったんです。それともう一つは、映画学校のドキュメンタリーに多いセルフドキュメンタリーの手法、その内に向かっているベクトルを、この作品では外に向けることができるんじゃないかということでした。ただ、自分を客観視するというのはすごく難しい作業なので、それをできる人間が一人必要だろうとも感じていて。そういうことを考えながら編集に手を出してるうちに、いつの間にか僕も関わるようになっていたという（笑）。それでいろいろ話してるうちに、やっぱりトルコに行くしかないだろうということになったんです。野本がトルコに行って、クルド人問題というものを知る必然性があるだろうと。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk02.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk02-thumbnail2.jpg" alt="bdk02.jpg" width="300" height="224" border="0" /></a><br /><br /><strong>たぶんわかってたんですよ<br />ああいうラストになるということが（笑）</strong><br /><br />――この作品の面白さとして、それまで被害者にしか見えなかったカザンキラン一家の父親が嘘をついていたことが発覚する、しかもその嘘が一種のミステリーとなって映画を引っ張っていくという構造が挙げられると思います。その辺りの流れが、映画では時系列通りに編集されているようには見えなかったのですが、どの段階で父親の嘘に気が付いていたんでしょうか。<br /><br />野本　撮影前ですね（笑）。座り込みデモをする前です。<br /><br />――そうなんですか？！ その辺はしたたかに作っているわけですね。<br /><br />野本　もしも事実を知らなかったら同情も湧いていたと思うんですよ。でも、事実を知っていたからこそ、どうなっていくのか客観的に見ていたいという気持ちが強くなったところもありました。<br /><br />――カザンキラン一家のほうでも、野本さんが事実を知っているということはわかっていたんですか。<br /><br />野本　最終的には聞きましたけど、最後まで聞きづらかったですね。それまでは、そのことを問いただす根拠のようなものが自分の中に見つからなくて、聞いた途端に何かが破裂してしまうんじゃないかという不安があったんです。だから余計に、もっと彼らのことや世界のことを知らなきゃいけないという気持ちにもなった。初めて事実を知った時は怒りも感じましたけど、それと同時にこれが作品になるなという漠然とした予感がありました。嘘をつくっていうことは、その裏に絶対に何かがあるんだろうなと。<br /><br />――結果的に、その嘘がある種のミステリーとして、この映画では効果を発揮したわけですよね。<br /><br />野本　そうですね。<br /><br />――この映画は大まかに言うと、日本篇、トルコ篇、ニュージーランド篇の三部構成になっていますが、トルコでの取材もかなり大がかりにやっています。トルコへ行こうと言い出した時から、これだけ壮大な作品になることは予想していたんですか。<br /><br />大澤　トルコに行こうと思った時に、そこで何を撮ろうかという話になって、クルド人だけに話を聞いたら、たぶん一面的な世界しか提示できないだろうと。だから、トルコに行くと決めた時点で、単純な二項対立ではなくて、もっと複雑な多項対立の状況を見せることが、この作品の核になるだろうという話はしてたんです。カザンキラン一家がトルコで迫害に遭ったのかどうかを検証するだけだと、すごく狭い範囲の話になってしまうので、いろんな立場の人たちから話を聞かなければいけないだろうと。トルコの西から入ってクルド人の多い東へ移動していくという道筋を選んだのも、いろんな地域をまたいでいけば多様な意見が聞けるだろうという見通しがあったからなんです。<br /><br />――海外では取材のセッティングをするのも大変じゃないんですか。<br /><br />野本　それが逆なんです。どうして日本ではこんなに取材が大変なんだと思うぐらいに、トルコではみんな気軽に取材に応じてくれました。トルコへ行く前、やっぱり事前に連絡しておいたほうがいいんじゃないかと思って、クルドの専門家の方に相談したんです。それが何回聞いても、向こうへ行けばインタビューは取れるって言うんですよ。それで結局、トルコ語もできないのに、何の確証もないまま行ったんですけど、みんなその場でお願いしてもいいよって言ってくれて。<br /><br />大澤　ただ、神経質にはなりましたね。途中で没収されないように、テープも十本撮るごとに日本へ送ったりしてました。結果的には何もなかったんですけど。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk03.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk03-thumbnail2.jpg" alt="bdk03.jpg" width="300" height="225" border="0" /></a><br /><br />――映画の途中で、取材に協力してくれたクルド人が逮捕されたというニュースが出てきますが、現地にはやっぱりそういう緊迫感があるんですか。<br /><br />野本　普通に滞在しているぶんにはわからないんですよね。ただ、取材に応じてくれた人たちにもう一度話を聞いたとしたら、あんなものでは済まないかもしれない。トルコ人がクルド人に対して密かに抱いている感情や逆の感情が出てくると思うんですよ。それは目に見えないものなので、非常にわかりにくいですけど。<br /><br />大澤　結局、日本にいる時に迫害や抑圧というものに対して持っていたイメージ、クルド人の置かれている状況に対するイメージというものが、僕らを神経質にさせていたんだと思います。でも実際、目の前にあるのは一般的な日常風景で、だけどそこには目に見えない抑圧が働いている。そういうことは、僕らも行ってみて初めて実感しました。<br /><br />野本　ただ、今回は行かなかった危険なクルド人地域というのもあるんですね。そこに入ったら、また別の問題が出てくると思います。<br /><br />――その地域というのはクルド人ゲリラの本拠地のような場所ですか。<br /><br />野本　そうです。そこに行ったら、抑圧や偏見というものが目に見える形で存在してるかもしれない。ただ、一般市民に関して言えば、この映画で見せていることがそれほど間違った状況ではないと思います。<br /><br />――ところで、トルコへ二人が行った時点で映画のラストは見えていたんですか。<br /><br />野本　トルコへ行った時、ラマザンが近いうちにニュージーランドへ出国するという話は聞いていたので、家族がニュージーランドで再会するところがラストになればいいかなぐらいのイメージはありました。ただ、ニュージーランドで何を撮ればいいのかということまではわからなかった。だから、できれば行ってから考えたいなと思ってました。<br /><br />大澤　僕は日本篇の撮影が終わってから合流して、ラマザン以外の家族とは会っていないので、ニュージーランドには行かなかったんです。やっぱり家族と関係性を築いている野本しか彼らの中には入れないし、僕がニュージーランドへ行く必然性はないだろうと。だから、これでラストだぞということだけは伝えて、野本を送り出したという感じでした。<br /><br />野本　何て言うか、頭の中で考えたラストは、僕の中ではラストじゃないんですよ。自分が知ってるものを撮っても面白くない。でも、実際にニュージーランドへ行ったらヤバいと思いましたね。どんなラストがいいんだろうって（笑）。念のために日にちを変更できる航空チケットを買ってたんですけど、結局、何も撮れなくて二、三日延ばしましたから。<br /><br />――でも、空港がラストにきてるということは、日本へ帰る直前まであのシーンは撮れていなかったということですよね。<br /><br />野本　このごろ思うんですけど、たぶんわかってたんですよ、ああいうラストになるということが（笑）。<br /><br />大澤　あれは本当に最後のテープのラストカットなんです。あの後には何も映ってない。<br /><br />――じゃあ、まさに映画の神様が降りてきたというか。<br /><br />大澤　そういうことを言うと、野本が図に乗りそうで嫌なんですけど（笑）。<br /><br />野本　自分でもラストにふさわしいカットが撮れたという感触はあったんです。でも、そのテープを大澤に渡したら、よくわからないとか言い出して……。<br /><br />大澤　トルコ篇までは割合想定した通りの映像を撮って、それをロジックで組み立てたところがあったんです。でも、ニュージーランドで野本が撮ってきた映像は60分テープで十本ぐらいしかなかった。それをラストにするっていう時に頭を抱えちゃったんですね。結局、完成した映画のラストへ至る流れは、素材をほぼ時系列に繋げているだけなんですけど、そこから醸し出されるものが映画的な何かになっている。ロジックだけでは語りきれない部分を補っている感じがしたんですね。これは編集する立場としては大きな発見で、こういう形でもちゃんと映画になるんだなと思いました。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk04.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk04-thumbnail2.jpg" alt="bdk04.jpg" width="300" height="225" border="0" /></a><br /><br /><strong>関わるきっかけはどうでもよくて<br />どういう過程を踏んで関係性を築いていくかが大事</strong><br /><br />――この映画の大きな特徴として、もう一つ、野本さんの出し方が絶妙だなと。自分を出しすぎていないから、こちらがとても入りやすいんですね。その辺のやり取りはどうだったんですか。<br /><br />大澤　野本は編集には全く関わっていないんです。彼は一週間に一回ぐらいウチに来て、雑誌を読んで編集の終わった素材を見て「いいんじゃなぁい」と言うだけで（笑）。僕が編集の時にすごく意識していたのは、さっきも言ったように、野本を日本の若者のメタファーにするということでした。野本がクルド人や難民問題という、ある大きな他者と向き合うことで、結果的にもちょうどいいバランスになったんですね。<br /><br />――野本さんが主観で撮ってきたものを、大澤さんが客観で編集するという作業だったんですね。<br /><br />大澤　そうですね。で、その主観の流れを生かせるような構成にしたという。<br /><br />野本　だから、大澤はカザンキラン一家と会わなくてよかったと思いますね。会っていたら映像に撮れていない部分のこともわかるし、情も入ってしまうだろうし。<br /><br />――でも、野本さんからしてみたら、思い入れのある素材を大澤さんが情を排して編集していくわけですよね。素材を完全に託すというのも勇気のいることじゃないんですか。<br /><br />野本　自分のイメージと違うストーリーになっていくことが面白かったんですよ。結局、撮れたものが全てなので、僕が口を出しても仕方がない。あと、これは今回の作業を通じて発見したことなんですけど、映画の中で形作られていく野本という人間が面白かったんです。次に何を撮ろうかと考える時に、「野本」に何をやらせてみようかという視点で考えてしまうこともあるぐらいで。<br /><br />――野本さんのあっけらかんとしたキャラクターはこの映画の面白みの一つになってますが、やっぱりそういう面白さが出せたのは、かなり自分を客観視していたからなんですね。<br /><br />野本　カメラで撮られるの嫌ですもん。それは意識しますよ。<br /><br />大澤　トルコ篇を撮る時点で、野本が重要なファクターになるということはお互い認識してたんです。ただ、その場合、カメラが常に回っているとプレッシャーになりますよね。だから、カメラの回っていないところでは、帰りたい帰りたいってひどかった（笑）。<br /><br />――トルコ篇の野本さんはある意味、演技者でもあったわけですね。<br /><br />野本　だから、もう知らねぇって感じでしたね。トルコまで来ちゃったら、もう引くわけにもいかないし（笑）。でも、これは経験したから言えることですけど、そうやって自分を演じることで作品が面白くなるんですよ。普段の生活だと、自分が人にこう理解されたいと思ったら、なかなかその殻を破れないじゃないですか。でも映像の中ではそれができるんです。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk05.bmp" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk05-thumbnail2.bmp" alt="bdk05.bmp" width="300" height="225" border="0" /></a><br /><br />――そういうことも含めて、今回の映画を作り終えて変わったことはありますか。<br /><br />野本　自分を演じていきたいという気持ちになれましたね。演じようとすると自分をよく見せようとするから、自分ができる以上の目標を掲げざるをえない。そうすれば、誰かと関わろうという気持ちになるし、結果的に世界も広がっていくじゃないですか。だから、私生活のうえでも、ドキュメンタリーを撮っていくうえでも、そのスタイルでやっていきたいなってすごく思います。<br /><br />――自分を装うことを肯定的に捉えられるようになったと。<br /><br />野本　それが100％ではマズいと思いますけど、それできっかけが作れればいいじゃないかと。その結果、いろんな人と出会って、撮りたいと思う人や問題にも出会えるようになる。でも当然、演技しきれない部分も出てくるだろうから、そのハードルを少しずつ上げていけたらいいのかなと思います。<br /><br />――自分を装っていても、一旦、人と繋がることができれば、本当の自分を理解してもらうことは後からでもできますもんね。<br /><br />野本　最初はお互いに腹の探り合いをしていても、最終的にそうじゃなくなるんだということが、この映画でも証明できたんじゃないかなと思います。関わるきっかけはどうでもよくて、どういう過程を踏んで関係性を築いていくかが大事なんですよね。<br /><br />――そういう話を聞くと、野本さんを今の若者のメタファーにしたという意図が飲み込みやすいですね。やっぱり今の若い人たちって人との関わり方にものすごく神経質になってるところがあるじゃないですか。そういう意味では、この映画によって人との関わり方に突破口を見出した野本さんの姿が、鬱屈している今の若者にとっても道しるべになると思います。大澤さんはいかがですか。<br /><br />大澤　社会性のあるテーマを扱うドキュメンタリーはどこか教条主義的というか啓蒙主義的なアプローチの作品が多いと思うんですね。弱者の視点から問題を扱うとか、ある一方の立場から単純構造を描くような。でも今回実感したのは、現実の世の中はものすごく複雑なんだなぁということなんです。虐げる者と虐げられる者という単純な構造ではないし、だからこそ、今の世界はすごく混乱してるんだろうなと。で、そういう状況を突破する時に「個」という視点がすごく有効だなという手応えがあったんです。物事を捉える時に、個という視点から入っていくと、実感として吸収できる。そういう意味で、今回は野本という個の存在を利用した面があるんですね。それによって、世界の複雑さを意図的に構成したという。それが今回は比較的成功したんじゃないかなと思います。<br /><br />――今後、二人が一緒に作品を作ろうというプランはあるんですか。<br /><br />野本　そうですね！（笑）<br /><br />大澤　僕は彼が面白い企画を持ってきたら乗ろうと思ってますけど、つまんなかったらやりません（笑）。<br /><br /><a href="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk06.jpg" target="_blank"><img src="http://eigei.up.seesaa.net/image/bdk06-thumbnail2.jpg" alt="bdk06.jpg" width="300" height="225" border="0" /></a><br /><br />（取材・構成：平澤竹識）<br /><br /><br /><strong>『バックドロップ クルディスタン』</strong><br />監督：野本大<br />編集・制作：大澤一生　<br /><br />7月5日よりポレポレ東中野にてロードショー　ほか全国順次公開<br /><br />公式サイト：<a href="http://www.back-drop-kurdistan.com/" target="_blank">http://www.back-drop-kurdistan.com/</a>

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<title>『純喫茶 磯辺』&lt;br&gt;吉田恵輔（監督）インタビュー</title>
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